姉妹ブログのこの方から、
「そろそろミョウガの話を取り上げなさいよ!」
と圧力がかかりましたのでヾ(๑╹◡╹)ノ"
石川雅望『しみのすみか物語』(文化2[1805]年刊)
国書データベース
※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA)
【原文】
田舎渡らひして、絹《きぬ》を商ふ商人《あきびと》、日暮れぬれバ、或る家の戸を叩きて、
「宿借りなむ」
と言へバ、承《う》け引きて、開けて入れけり。
主《あるじ》の妻は、恐ろしき心持ちたる者にて、此の旅人の包みの重りかなるを見て、
「如何《いか》で此の包み忘れて行《ゆ》けかし。我が物にしてむ」
と思ひて、主に囁《さゝや》き言へバ、
「茗荷《ミやうが》を食ひたる人は、心呆《こゝろぼ》けて、物忘れする物なり」
と言ふを聞ゝて、菜《あはせ》の実の、皆、茗荷《みやうが》を入れて食はせつ。
扨《さて》、商人は、明け暗《ぐ》れの空に起き出でゝ、立ちて行きぬ。
妻ハ、
「旅人の忘れたる物見む」
と、寝たる所に入りて見れバ、つや/\物一つ無し。
「食ハせつる茗荷ハ、徴《しるし》無かりけり」
と言へバ、主、
「否《いな》、茗荷《ミやうが》こそ徴有りけれ。いみじき物、忘れて行きぬ」
と言ふ。妻、
「何をか忘れたる」
と問へバ、
「我に与ふべき粮代《かりて》の銭、忘れて往《い》にけり」
と言へバ、妻、
「実《げ》に/\」
と言ひて、愈々《いよ/\》腹立ちけり。
人を謀《はか》りて、物を取らむとして、却《かへ》りて己《おのれ》、損をしたりける。
腹黒なる心は、使ふまじき物にぞ有りける。
【現代語訳】
田舎を渡り歩いて絹を売る商人が、日が暮れたので、ある家の戸を叩いて、
「宿をお借りしたい」
と言いました。
家の主人は承諾して、戸を開けて商人を中に入れました。
この家の主人の妻は、恐ろしい心を持つ人で、この旅人(商人)の荷物が重そうなのを見て、
「どうにかして、この荷物を忘れていかないだろうか、自分の物にしたい」
と思って、主人にささやきました。主人が、
「ミョウガを食べた人は、気分がボケーっとして、物忘れをするものだ」
と言うのを聞いて、妻は、すべての食事のおかずにミョウガを入れて、旅人に食べさせました。
さて、商人は、夜が明けそうな頃に起きて、宿を出ていきました。妻は、
「旅人が忘れたものを見よう」
と商人が寝ていた部屋に入って見てみると、何一つ忘れ物はありませんでした。
「食わせたミョウガは効果がなかったみたいだ」
と妻が言うと、主人は、
「いや、ミョウガの効果はあった。すごい物を忘れていった」
と言いました。妻が、
「何を忘れたのか?」
と聞くと、主人は、
「ワシに払う約束をした、宿代を払うのを忘れて行ってしまった」
と言いました。妻は、
「ああ、そうだ、そうだ」
と言って、ますます腹を立てたのでした。
人をあざむいて物を取ろうとしたものの、かえって自分が損をしたのです。
腹黒い心は持ってはいけないということです。
【解説】
はい、落語の「茗荷宿」と同じ内容のお話ですね。
茗荷宿のお話は、ちゃんと江戸時代から存在していたというヾ(๑╹◡╹)ノ"
主人の妻は恐ろしい心の持ち主と書かれていますが、言うほど恐ろしい心の持ち主ではありませんね。
本当に恐ろしい心を持っていたら、茗荷を食べさせて荷物を忘れさせようなんてマヌケなことはせず、旅人を殺して奪いますものヾ(๑╹◡╹)ノ"
で、実はこの作品より前にすでに、茗荷宿のお話が書かれている作品がありまして、それがこちらでございます。
小松百亀(不知足散人)『聞上手二篇』(安永2[1773]年刊)
詳細 :東京都立図書館デジタルアーカイブ TOKYOアーカイブ
さあ、みなさん、読みましょう!!!
字も大きくて、くっきり書かれているので、読みやすいと思うのです。
ヒント!
前に正解をこの後に載せたら、うっかり先に見てしまった方がいらっしゃったみたいなので(笑)、正解発表は次回に!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
ミョウガを食べると物忘れをするみたいだけど、蚊の目玉を食べるとどうなるの??? ヾ(๑╹◡╹)ノ"
ただただ、気持ち悪いだけだよ ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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