夜中に急な葬式が入り、寺の僧はみんな出払ってしまいました。




『好色五人女』巻四「恋草からげし八百屋物語」[貞享三(1686)年刊、井原西鶴作]
好色五人女 5巻 [4] - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】【現代語訳】
何《いづ》れも驚《おどろ》きて、姥《うば》は年越《としこ》しの夜《よ》の煎大豆《いりまめ》取り出すなど、天井《てんぢヤう》の有る小座敷《こざしき》尋《たづ》ねて身を潜《ひそ》めける。
(虫出しの雷が鳴り響くので、)誰もが驚き、庫裏姥《くりうば》は、節分の夜の煎《い》り豆を取り出したりして[食べると雷除けになるという]、天井のある小座敷を探して身を潜めました[二重天井があれば雷を除けれるという]。
母《はゝ》の親《をヤ》、子を思ふ道に迷ひ[『後撰和歌集』兼輔朝臣より]、我《われ》を労《いたは》り、夜着《よぎ》の下へ引き寄せ、厳しく鳴《な》る時《とき》ハ、「耳《みゝ》塞《ふさ》げ」など心を付《つ》け給ひける。
お七の母親は、子が可愛いすぎて、お七を大事に扱い、自分の寝具の下に引き寄せて、激しく雷が鳴る時は、「耳をふさぎなさい」などと言って、お気遣いをされました。
女の身なれば、恐ろしさ限りも無かりき。
お七は、女の身なので、雷がとてつもなく恐ろしく感じました。
然《さ》れ共、
「吉三郎殿に会ふべき首尾《しゆび》、今宵《こよひ》ならでハ」
と思ふ下心有りて、
しかし、
「吉三郎殿に会うチャンスは今夜しかない!」
と、下心丸出しで思うのでした。そして、
「扨《さて》も浮き世の人、何《なに》とて鳴神《なるかミ》を恐れけるぞ。
捨《す》ててから命《いのち》、少しも我は恐ろしからず」
「それにしても、世間の人々はどうして雷を恐れるのでしょう。
たかだか命を一つ捨てるくらいではないですか。
私は少しも恐ろしくありません」
と、女の強がらずして良き事に、無用《むやう》の言葉《ことば》、末《すゑ》/゛\の女共まで、是を誹《そし》りける。
と、女だから強がらなくてもいいのに、言わなくてもいいことを言うので、下々の女どもまで、お七を陰で非難するのでした。
漸《やう/\》更《ふ》け過ぎて、人皆《ひとミな》自《をの》づからに寐《ね》入りて、鼾《いびき》ハ軒《のき》の玉水《たまみづ》の音《をと》を争ひ、
だんだん夜も更けて行き、人々はいつの間にか寝入って、グーグーとかくイビキは、軒の雨垂れと、どちらの音が大きいか争うほどでした。
雨戸《あまど》の隙間《すきま》より月の光《ひかり》も有り無しに、静《しづ》かなる折節《をりふし》、客殿《きヤくでん》を忍び出けるに、
雨戸の隙間から、ほんのわずかな月の光も差し込み、静かになった頃、お七は客殿をこっそり出ました。
身に震ひ出て足元も定《さだ》め兼ね、枕豊かに臥《ふ》したる人の腰骨《こしぼね》を踏ミて、
体が震えて足元もおぼつかなかったので、グッスリ寝ている人の腰骨を踏んでしまいました。
魂《たましいゐ》消《き》ゆるが如く、胸《むね》甚《いた》く上氣《じやうき》して、物ハ言ハれず、手を合ハして拝ミしに、
魂が消えるくらい、ドキがムネムネして、物を言う事も出来ず、手を合わせてメンゴメンゴと拝みましたが、
「此の者、我《われ》を咎《とが》めざるを不思義《ふしぎ》」
「この人が私にブチギレないのは不思議だなあ」
と、心を留《と》めて詠《なが》めけるに、食《めし》炊《た》かせける女の、梅《むめ》といふ下子《げす》なり。
と、よくよく見てみると、飯炊き女の梅《うめ》という下女でした。
其れを乗り越《こ》へて行くを、此の女、裾《すそ》を引き留《とゞ》めける程に、
梅を乗り越えて行こうとすると、梅はお七の裾を引っ張って止めました。
又 胸《むね》騒ぎして、「我留むるか」と思へば、然《さ》には有らず、小半紙《こばんし》壱折《ひとおり》手に渡しける。
また、ドキがムネムネして、「私を引き止めるのか」と思っていると、そうではなく、鼻紙を一束、お七に手渡しました。
「扨《さて》も/\悪戯《いたづら》仕付《しつ》けて、斯《か》ゝる忙しき折からも、氣の付きたる女ぞ」
と嬉しく、
「さすが、ムッフンな事に慣れてるから、こんなアタフタしている時でも、気の利いた女ですこと」
と、お七は嬉しくなりました。
【解説】
雷も落ち着いたのか、ようやくみんなが寝静まった頃、お七はいよいよ客殿を抜け出します。
うっかり、寝ている人を踏みつけてしまいますが、踏んだのはスケベ女の梅だったので助かりました。
カンの良い梅は、お七にティッシュを渡して、無言でサポートするのでした。
さあ、お七は無事に吉三郎の所にたどりつけるのでしょうか?
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うわあ、すごい雷の音がするヾ(๑╹◡╹)ノ"![]()
違う違う、拾い食いをしたらお腹を壊して、僕のお腹がゴロゴロ鳴ってるのヾ(๑╹◡╹)ノ"![]()
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