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亀山人の所に亀山の化け物が訪ねて来ました ~『亀山人家妖』その5~

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『亀山人家妖』の続きだよ!

あ、僕と同じ髪型の人が訪ねてきたみたいだよ♪

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喜三二[平沢常富]作、北尾重政 画『亀山人家妖(きさんじんいえのばけもの)』天明7 [1787]年刊
※この記事では国会図書館デジタルコレクションの画像を適時改変して使用しています。
絵本国土産 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。

【前回のくずし字クイズの答え】

いづくともなく◆一人の入道来りて曰◆
「ワたくしハソレおめへの号に◆
付てござる◆かめ山の化物さ

【原文】

喜三二、化け物の工夫に困り入る折節、蔦十よりハ日々の催促にて、
「九月廿五日暮れ六ッの鐘を合図に写本を渡すべし。」
と、手詰めになり、困りける時、何処(いづく)とも無く一人の入道来たりて曰(いは)く、
「私(ワたくし)ハ、ソレ、御前(おめへ)の号に付けて御座る亀山(かめやま)の化け物さ。
箱根からこつちと言ふハ昔の事で、今ハ日本中に野暮と化け物ハ無(ね)えから、私(ワたし)も化け物をぐつと辞めの素人ゝなりサ。
役者を化け物と見る様な野暮なこつちやァ、とんと受け取ら無(ね)へから、御前(おめへ)に大事のこつたけれども申しやす。」

「成程(なりほど)、こいつハ面白い。
さて、もう今度ハ大手子摺(おほてこず)りだ。」

「私(ワたし)が化け物で居た時も、終(つい)ニ化けた事ハ無(ね)へけど、ソレ、向かふから化かされて来やす。
此処(こゝ)を良く工夫してミなさい。」と云ふ。

喜三二ハ相応に挨拶ハしけれ共(ども)、化け物と聞ゝて恐ろしくなりける心の迷ひにや、其処等(そこら)辺り真つ暗に成りて、亀山の化け物ハ行き方知らず成つたか成らぬか、真つ暗にて見え分かず。
尤(もつと)も、喜三二が姿も見へぬ積もりなり。

此の紙半枚ハ何も描く[書く]事無き故、実ハ真つ暗ニ成りたるなり。
きつい喜三二殿(でん)のこぢつけなり。

【さっくり現代語訳】

喜三二化け物イデアに困っていましたが、蔦屋重三郎からは毎日催促が来て、
九月二十五日の、暮れ六つ[午後6時頃]の鐘締め切りの合図として、原稿を渡してくだされ。」
最後通告をされたので、追い詰められて困っている時、どこからともなく一人の入道がやってきて言いました。
お前別名につけている亀山(かめやま)の化け物[喜三二の別名の一つが亀山人]
『野暮(やぼ)と化け物は箱根から先』と言うが、それはのことで、日本中野暮化け物はいなくなってしまった。
だから化け物をやめて一般人となったのだ。
お前みたいに役者化け物に見立てるような野暮なことをやっても[前回参照]、全く受けないから、お前大事なことを教えてあげましょう。」

喜三二
「なるほど、化け物でいらっしゃったとは、これは面白い
今度ばかりは大いにてこずってましてな。」

亀山の化け物
化け物だった時は、とうとう自分から化かしに行った事はなかった。
向こうから化かされに来るもんなんだ。
このあたりのことを良く考えて工夫なされ。」

喜三二はそれなりに入道に応対したけれども、やはり元は化け物だったと聞いて恐ろしくなり、そこから心の迷いが生じたのが、あたりが真っ暗になりました。
亀山の化け物がどこかに行ったのか、まだ居るのかさえ、真っ暗で分からなくなりました。
もっとも、喜三二の姿も居るか居ないか、真っ暗で見えないんですがね。

この半ページは、実は何も描くことが無かったから、真っ暗になったのです。
ほんと、喜三二殿カンベンして欲しいですわ。

【解説】

「亀山の化け物」は、『嬉遊笑覧』巻六下「飛人形」などの記述によると、丹波国の亀山京都府亀岡市で生け捕ったという化け物見世物がよくあったようです。
当時、浅草寺の雷門では「亀山の化け物」という名前の玩具も売られていたそうです。
嬉遊笑覧 : 12巻附1巻. 下 - 国立国会図書館デジタルコレクション
妖怪カルタにも「亀山の化け物」の札がありますね。
お化けかるた - Wikipedia

「野暮と化け物は箱根から先」ということわざは、「野暮な人と化け物は箱根から西に住んでいる」という意味です。
つまり、箱根から西は田舎だとディスっていることわざです。

やっぱり、前回は役者化け物に仕立てたみたいですね、間違ってなくて良かった♪
誰の事を言っているか特定したいものですが。。。kihiminhamame.hatenablog.com

「化かしに行くんじゃなくて、向こうから化かされに来るようにする」
哲学めいてるのか何だかで、わかったような、わからないような(笑)


それにしても、描くことがないからって、左ページの絵黒塗りにしてしまうなんて、赤塚不二夫のマンガでありそうな趣向です。
斬新と言うか、喜三二さん、ガンガン攻めてますよねえ(笑)

次回予告とくずし字クイズ

次回で上巻が終わりです。
喜三二さんは何かを悟ったようです。

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三つ目コーナー

   

三つ目言わせること何も無いので、真っ白にしました(満面の笑み)

 

     

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