なんかセンター試験で出題された『玉水物語』が、百合系の話でちょっとした話題になっているようですね。
なので、便乗して、急遽予定を変更して、『玉水物語』を読んでみたいと思います。
この作品は読んだ事ないので、先入観無しに取り組めるので、楽しみでございます♪
ひょっとしたらスマニュー砲でもくらって、アクセス激増するかもしれないので、改めてこのブログの凡例を。
【原文】は、できるだけ漢字に直し、濁点、句読点や読み仮名などを補って読みやすくし、かつ、旧字体などオリジナルの表記の雰囲気は残しました。
【さっくり現代語訳】は直訳ではなく、古文に馴染みのない方でも読みやすいように、さっくりと現代語に訳したものです。
厳密には訳していないので、学生の方は試験勉強など参考にはなさらないでくださいね♪
【原文】はすっとばして、【さっくり現代語訳】と【解説】だけを読んでいただいても全然構いません♪
このブログは江戸文学を中心とした日本の古典文学を広く愛していただくために、ディープな方にもライトな方にも楽しんでいただけるよう心がけております♪
【解説】は、文字通り内容等を解説したものですが、私の独断と偏見にまみれており、ただの雑文になっている場合が多いです(笑)
あと、振り仮名は《》内に記し、注や補足は[]内に記しています。
玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。
【原文】
中比の事にや在《あ》りけん、鳥羽の邊《あたり》に高柳《たかやなぎ》の宰相《さいしやう》と申す人御座《おハ》せしが、三十に余り給ふ迄、御子も無く、「如何《いか》なれバ」とて嘆き給ひて仏神に祈り申し給ひけれバ、其の験《しるし》にや、北の方、徒《たゞ》ならず見えさせ給う。
御悦《よろこ》び限りなかりけり。
扨《さて》、神無月《かんなづき》の始めつ方に姫君出来給ひけり。
手の上の玉と傅《かしづ》き育て奉《たてまつ》り給ふ。
二十五相[正しくは三十二相]の御容《かたち》目出度《めでた》く、誠に傍《かたは》ら光るばかりに見へ給ふ。
かくて年月重なるまゝに、十四、五に成らせ給ふ。
吹く風、立つ波につけても心を掛けて、哥を詠ミ、詩を詠じ、何と無き御遊《おすさび》にても類《たぐひ》有り難く御座《おハ》しければ、父母、並べ
【さっくり現代語訳】
少し昔のことでしょうか、鳥羽[京の地名、洛外に位置する]の辺りに、高柳《たかやなぎ》の宰相《さいしょう》[貴族の官位「参議」の別称]という方がいらっしゃいました。
三十歳を過ぎてもお子様に恵まれにならなかったので、「なんでだろう、なんでだろう、なんでだ、なんでだろう」とお嘆きになって、神仏にお祈りなさいました。
すると、その御利益があったのでしょうか、奥方が御懐妊なされました。
高柳の宰相が、めちゃくちゃお喜びになったのは、言うまでもありません。
そして、十月の上旬、無事に姫君がお生まれになりました。
両親は姫君を、まるで手の上に乗せた宝玉のように、大切にお育てになりました。
姫君には、女性の全ての美しさが備《そな》わっておられ、まばゆいばかりに光り輝いてらっしゃるようでした。
そんなこんなで年月はあっという間に流れ、姫君は十四、五歳になられました。
姫君は、ちょっとした吹く風や寄せる波にまでも、風情を感じて詩歌をお詠みになり、どうってことない仕草でさえほれぼれするほどでした。
なので両親は、
【解説】
子供に恵まれない人が神仏に祈って、優れた子供に恵まれるという、昔話の典型的なパターンで始まります。
『玉水物語』はジャンル的には御伽草子(おとぎぞうし)で、室町時代に成立した物語です。
この時代はコピー機もスキャナもなかったので、本は書き写すしか手元に置く方法がなかったんですよね。
ここで使用する本も、写本[手書きの本]なのですが、いつ書き写されたものかは不明です。
冊子になっているので、おそらく江戸時代に入ってからではないかなと。
江戸時代以前だと巻物状で残っている場合が多いと思うので。
次回の予習
この物語の主人公となるキツネが登場します。
三つ目コーナー
僕も玉のように光り輝いているって言われるよ♪
良かったね。
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