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井原西鶴が描く明智光秀! その3 ~『武家義理物語』巻一の二「瘊子は昔の面影」~

 

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武家義理物語 6巻. [1] - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しております。
  

 

【書き入れ画像】(クリックで展開)

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翻刻【現代語表記】(クリックで展開)

翻刻

更《さら》に身の事を歎《なけ》かず。自《ミつから》此 姿《すかた》
にて。十兵衛殿にまミゆる事ハ。思ひもよらず。ま

して此 形《かたち》を。堪忍《かんにん》すべき者《もの》あれバとて。外《ほか》に
男《をとこ》を持《もつ》へき心底《しんてい》にあらず。妹《いもと》ハ我等《われら》がむかしに
風俗《ふうぞく》もかハらず。よろづにかしこく。心さしもし
ほらしく。生《うま》れつきぬれバ。何國《いづく》に行《ゆき》ても二親《ふたをや》の
御 名《な》ハくださし。是《これ》を十兵衛殿へおくらせ給へ。我《われ》
等《ら》ハ兼《かね》て出家《しゅつけ》の願《ねが》ひ。諸佛《しよぶつ》をかけて。偽《いつワり》なしと
手馴《てなれ》し唐《から》の鏡《かゝミ》をうちくだきて。浮世《うきよ》を捨《すて》る
誓文《せいもん》を立《たて》しを聞《きゝ》て。父《ちゝ》も母《はゝ》も感涙《かんるい》袖《そて》にあ
まりて。しバらく思案《しあん》せしが。角《かく》いひ出して。帰《かへ》らぬ
事ぞと妹《いもと》に何《なに》の子細《しさい》もなく。亀《かめ》山におくる。縁《ゑん》
付《つき》の事を申 渡《わた》せバ。何とも合点《かつてん》まいらず。姉君《あねぎミ》


より先立《さきたち》て。道《みxち》の違《ちが》へる所なり、姉《あね》の御身かた
づきて。後《のち》ハともかくもと申あげける。尤至極《もつともしごく》。それハ
世間《せけん》の順義《しゆんぎ》ながら。姉《あね》ハつね/゛\出家《しゅつけ》の心ざし深《ふか》く。
思ひこめしゆへ。兎角《とかく》ハ望《のぞ》ミにまかせ。近《ちか》/゛\に南都《なんと》
の法花寺《ほつけじ》につかハしける。そのかたハ龜山《かめやま》におくる也
女にうまれても。其身《そのミ》の仕合《しやわせ》有。明智《あけち》十兵衛といへる
人ハまづ武藝《ぶけい》すぐれて。殊更《ことさら》理《り》にくらからねバ
諸事《しよじ》に埒明《らちあけ》にして。一 生《しやう》つれ添《そふ》。夫妻《ふさい》の楽《たの》しミ
深《ふか》く。しかも次第《しだい》に出世《しゅつせ》の侍《さふらひ》なれば。我《われ》/\老後《らうご》の
たよりとも成ぬべき人ぞと。さま/゛\いひ聞《きか》せけるに
女ごゝろに嬉《うれ》しく。親達《をやたち》の仰《あふせ》にまかせ。吉祥日《きつしやうにち》をゑら

ひ相應《そうをふ》よりハ美々敷《びゞしく》仕《し》たて。龜山《かめやま》におくられける。

【現代語表記】

更《さら》に身の事を歎《なげ》かず、
「自《みずか》ら此の姿《すがた》にて、十兵衛殿に見《まみ》ゆる事は、思いもよらず。
まして、此の形《かたち》を堪忍《かんにん》する者《もの》有ればとて、外《ほか》に男《おとこ》を持《も》つべき心底《しんてい》に非《あら》ず。
妹《いもと》は我等《われら》が昔に風俗《ふうぞく》も変わらず、万《よろず》に賢く、心ざしもしおらしく生《う》まれ付きぬれば、何国《いずく》に行《ゆ》きても二親《ふたおや》の御名《おな》は下さじ。
是《これ》を十兵衛殿へ送らせ給え。
我等《われら》は兼《かね》て出家《しゅっけ》の願《ねが》い、諸仏《よぶつ》を掛けて偽《いつわ》り無し。」
と、手馴《てな》れし唐《から》の鏡《かがみ》を打ち砕きて、浮世《うきよ》を捨《す》てる誓文《せいもん》を立《た》てしを聞《き》きて、父《ちち》も母《はは》も感涙《かんるい》袖《そで》に余りて、暫《しばら》く思案《しあん》せしが、
「角《かく》言い出して、帰《かえ》らぬ事ぞ。」
と、妹《いもと》に何《なに》の子細《しさい》も無く、亀山《かめやま》に送る縁付《えんづ》きの事を申し渡せば、
「何とも合点《がってん》参らず。
姉君《あねぎみ》より先立《さきだ》ちて、道《みち》の違《ちが》える所也。
姉《あね》の御身片付きて後《のち》は兎《と》も角《かく》も。」
と、申し上げる。

「尤《もっと》も至極《しごく》、其れは世間《せけん》の順義《じゅんぎ》ながら、姉《あね》は常々 出家《しゅっけ》の心ざし深《ふか》く、思い込めし故、兎角《とかく》は望《のぞ》みに任せ、近々に南都《なんと》の法花寺《ほっけじ》に遣わしける。
其の方は亀山《かめやま》に送る也。
女に生まれても、其《そ》の身《み》の仕合《しや》わせ有り。
明智十兵衛《あけちじゅうべえ》と言える人は、まず武芸《ぶげい》に優れて、殊更《ことさら》理《り》に暗からねば、諸事《しょじ》に埒明《らちあ》けにして、一生《いっしょう》連れ添《そ》う夫妻《ふさい》の楽《たの》しみ深《ふか》く、しかも次第《しだい》に出世《しゅっせ》の侍《さぶらい》なれば、我々《われわれ》老後《ろうご》の頼りとも成りぬべき人ぞ。」
と、様々言い聞《き》かせけるに、女心に嬉《うれ》しく、親達《おやたち》の仰《おお》せに任せ、吉祥日《きっしょうにち》を選び、相応《そうおう》よりは美々《びび》しく仕《し》立て、亀山《かめやま》に送られける。     

 

【現代語訳】

姉娘は、自分の身の上の事を全く嘆かず

私自身、この醜い姿で、十兵衛殿お目にかかる事は、考えてもいません

ましてや、この醜い姿我慢できる者いるかもしれないなどとも思えずほかの男結ばれる気持ちありません

昔の私の姿と変わりなく、全てにおいて賢く心の持ち方も慎み深く生まれ付いているので、どこの国に行っても、両親の評判を下げることないでしょう。
十兵衛殿の元へお送りくだされ。

以前から出家をすることを願っていました。

このことは、あらゆる仏に誓って嘘偽りはありません。」

と、使い慣れた中国の鏡叩き割って俗世間を捨てる誓いを立てました。

これを聞いて、感激してでも拭ききれないほどを流し、しばらく考えなおしましたが、

一度このように言い出したからには、もう後には戻れない。」

と、妹娘詳しい事何も言わず亀山の十兵衛の元に送る縁談のことを告げました。

妹娘は、

「どうしても納得ができません。

姉君より嫁入りすることは、世間一般の道理から外れた事になります。

姉君嫁入りされたならば、受け入れる事はできるのですが。」

と言いましたが、

「確かにその通りです。

より嫁入りするのが世間一般での正しい順番ですが、は常々出家する気持ちが大きく、深くに決めていたので、ここはとにかく姉の望み通りにして、近々、奈良の法花寺を行かせることになりました。

あなた亀山に行かせます。

生まれながらも、としての幸せはあります。

明智十兵衛というは、まず武術に優れ、特に的確な判断が下せ、あらゆることを手際よくこなすので、一生連れ添う夫婦となったら、楽しいことが多いでしょう。

しかも、これからだんだん出世していく武士なので、我々の老後に必ず頼りともなるなのです。」

両親が色々と言い聞かせると、妹娘女心がときめいて嬉しくなり、両親の言いつけに従い、日柄が良い時を選んで、身分相応よりも立派仕立て亀山送られたのでした。

【解説】

醜くなった姉娘の代わりに妹娘十兵衛明智光秀に送る件、自分の醜い姿をはかなんで出家希望していた姉娘は二つ返事で承諾します。

妹娘思いがけない話不審を抱きながらも、姉娘の出家の意志十兵衛の素晴らしさを聞かされ、最終的には前向きに承諾します。

はてさて、このままこの物語すんなり終わるのでしょうか?

ちなみに、十兵衛姉娘の代わりに妹娘が来ることは知りません。。。

次回、「妹がくる」お楽しみに!ヾ(๑╹◡╹)ノ"

麒麟がくるみたいに言うんじゃない!ヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

 

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