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人の花散る疱瘡の山 その3 ~井原西鶴『懐硯』巻一の五~

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※下に現代語訳と解説があります。

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懐硯. 第1 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。

【原文】

 元より此の専九良、子細有りて、身躰《しんだい》稼ぐ身にもあらず。
 只《ただ》 獨《ひと》りの渡世《とせい》にハ、鬠結《もとゆハ》捻《ひね》り。
 甲斐《かひ》無き身を繋《つな》ぎて、上手《じやうず》の名《な》を得しに、或る時、左馬之丞僕、是を聞き及びて買ひに来たるを、それとも知らず、烟草《たばこ》など呑《の》ミて、一つ二つ四方《よも》の咄《はなし》の次而《ついで》に、思ハず噂《うハさ》有りて、渡《ワた》りに舟便《ふなだよ》りを得て、一命を抛《なげうつ》て頼み掛ゝれば、此の男、
「成程《なるほど》、それ体《てい》の思ひならば、肝煎《きもい》りべし」
 と言ふに嬉《うれ》しく、過ぎし比《ころ》よりの有様を書き綴《つゞ》り送りければ、左馬之丞見て、「真《まこと》に賤《いや》しき者」と有れば、還《かえ》つてしほらしき心根《こゝろね》感《かん》じ入り、返事をしてそれより深《ふか》き契約《けいやく》となりぬ。
 左馬之丞、故里《ふるさと》へは、病氣故《びやうきゆへ》、當所《とうしよ》の谷々《やつ/\》の景《けい》を心晴らしに詠《なが》むる由《よし》言い遣《や》り、専九良に別《わか》れを歎《なげ》くのミ也。

【現代語訳】

 元々この専九郎は、ワケあって、武士でありながら、主君に仕えて給料をもらうではありませんでした。

 女房もおらずただ独り身で、チョンマゲを縛る元結《もとゆい》を作って生活していました。

 生きている価値などないと思いながらも、を繋ぐためにだけに元結を作っていましたが、その元結評判を呼び、名人と言われる程になりました。

 ある時、左馬之丞の使用人が、専九郎の元結評判を聞き、買いにやって来ました。

 専九郎左馬之丞の使用人だとは知らず、タバコなどを吸いながら、一つ二つ世間話をしていると、話の中で左馬之丞の使用人だということが分かりました。

 専九郎は、「これは何というチャンス!」と思い、命がけで必死に左馬之丞との間の仲立ちを頼みました。

 左馬之丞の使用人は、

「なるほど、そこまで思い入れがあるならば、仲立ちをしましょう。」


 と言ってくれました。

 専九郎は嬉しくて、最初に見た時からの思いを手紙に書きまくって、使用人を通じて左馬之丞に送りました。

 左馬之丞は、「はただの貧しい者でございます」と書いてあるのを見て、むしろ慎み深い心持ち感動し、返事を書いて、それから深い男色の契りを交わすようになったのでした。

 左馬之丞国元へは、

病気になったので、鎌倉の谷々の景色を気晴らしに眺めて、もうしばらく滞在します。」

 などと伝えて、専九郎との逢瀬を重ねては、また会う時までのしばしの別れを嘆く日々をひたすら続けたのでした。

【解説】

 時代劇などには傘張りなどの内職をする浪人が出てきますが、当時の書物このような浪人の記述があるということは、現実でも浪人内職をしていたみたいですね。
 で、芸は身を助けると言いますが、この元結作りが、左馬之丞交際するキッカケとなるのですヾ(๑╹◡╹)ノ"

 ちなみに、専九郎ワケあって浪人になったようですが、こういう人はたいてい、男色トラブルを起こして、勤めをやめざるをえないケース多いんですよねえヾ(๑╹◡╹)ノ"

 で、二人結ばれて、これでハッピーエンドではありません、話はこれからですヾ(๑╹◡╹)ノ"

 わーい、にも手紙が届いたよ、からだろ?

 ん?督促状って書いてあるけど何???

 

 

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