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人の花散る疱瘡の山 その4 ~井原西鶴『懐硯』巻一の五~

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※下に現代語訳と解説があります。

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懐硯. 第1 - 国立国会図書館デジタルコレクション

※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。

【原文】

 かくて歳半《としなか》ば経《た》ちて、左馬之丞、例《れい》ならず煩《わづら》ひ、四五日過ぎて疱瘡《はうそう》面《おもて》に顕《あらハ》れ、分《わ》けて重かりし故《ゆへ》、家来迄《けらいまで》氣遣《きづか》い、心地《こゝち》安《やす》からず。
 されども、専九良ハ右馬之助が前《まえ》を憚《はゞか》りて見廻《みま》ふ事、心に任せず。

 早《は》や廿日《はつか》に餘《あま》れば、疱乾《いもハせ》[いもかせ?]て湯掛ゝりしに、面《めん》を脱《ぬ》ぎたる如《ごと》く其の跡《あと》は菊石《ミつちや》大方ならず。
 付《つ》き/゛\きの者まで初めの左馬之丞とも覚へず。

 世にまた有るまじき器量《きりやう》、忽《たちま》ち変《へん》じて、二目《ふため》とも見られず。
 自身《じしん》も心許無《こころもとな》きにや、鏡《かがみ》に向かへバ、知らぬ不若衆《ぶワかしゆ》かと思われ、此の皃《かほ》して再び専九良に逢《あ》ふ事の恥づかしく、武州《ぶしう》木挽《こびき》祢宜町《ねぎちょう》へ人を遣《つか》ハし、

「我に似《に》たる者あらば、尋《たず》ね連れ立ちて来るべし」
 と言ひ遣れば、金次第《かねしだい》にて取り違《ちが》へる程の美少《びしやう》を上《のぼ》しけるを呼《よ》び付《つ》けて、
「其の方ハ専九良殿に行きて、何成共《なんなりとも》似合敷用《にあハしきよう》を聞き、良く奉公すべし」
 と遣ハすに、

【現代語訳】

 こうして半年が過ぎたころ、左馬之丞体調を崩し、四五日過ぎてから疱瘡デキモノに現れ、症状がとても重かったので、家来までもが心配して不安になったのでした。

 しかし、専九郎は、右馬之助手前もあって遠慮し、見舞いに行きたくても、行くことができませんでした。

 あっというまに二十日余り経つと、デキモノも乾いてカサブタになったので、お湯で洗い流すと、まるでお面を脱いだように、そのはひどいアバタになっていました。

 お側に仕えている者でさえ、以前の左馬之丞とは違ってしまったので、誰だか分からないほどでした。

 この世にまたとない美しさが、二目《ふため》とも見られぬ顔になってしまったのです。

 左馬之丞自身心配になってを見てみると、そこには見知らぬブサイク若衆がいるかと思ったほどでした。

 この顔で再び専九郎に逢うのは恥ずかしく思い、

私に似た者がいたら、探して連れて参れ。」

 と言って、武蔵国木挽町《こびきちょう》や祢宜町《ねぎちょう》[芝居小屋があった場所。歌舞伎若衆は色も売った]へ、を遣わしました。

 金の力でどうにでもなるもので、左馬之丞と見間違えるほどの美少年を連れてきたので、呼び付け、

お前専九郎殿の所に行き、何でも言われた事を聞き、しっかりと奉公しなさい。」

 と、この美少年専九郎の所に遣わしました。

【解説】

 あれえ?どっかで聞いたようなお話だなあ?

 そう、前回の明智光秀のお話男色バージョンなんだよ。

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 時系列的には、今回の話の方先に書かれているので、明智光秀のお話実話ではなく、このお話アレンジした創作でしょう。

 さて、結末同じようなものになるのでしょうか?

 

 

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