【前回のあらすじ】
一つ目小僧は越後の大入道に家督を譲られ、今入道と名乗って諸国化け修行に出ます。
一方、丹波のヒヒは見越入道を養子に迎え、今入道に一泡吹かせるように命じます。
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (7ページ目です)
※画像は拡大できます。
【原文】
今入道、つく/゛\と思ひけるは、
「化けの里には多《おふ》くの化け物ゝ入り込む所なれば、此の里に入り込ミ、化け修行せん」
と、毎夜《まいや》/\、通ひけるが、此の頃の突き出し、新屋《しんや》の毛女郎《けぢよらう》と深く馴《な》れ初《そ》めける。
狒《ひ》ゝが養子の見越入道ハ、毛女良が突き出しのその日より、色/\心を尽くし、手に入れんとしけれども、一向得心無ければ、「如何《いか》なる訳《わけ》やらん」と思いけるに、毛女良ハ今入道と深く馴染ミて旨き仲と聞ゝ、肝を潰し、
「毛女良を今入道に取られては、養い親たる狒ゝに言ゝ訳立ゝず、何とぞして毛女良を我が手に入れ、今入道の鼻を拉《ひし》がん」
と、心を痛むる折から、廓《くるハ》にて行《ゆ》き合ひ、鞘《さや》当てして、ついに毛女良の貰い引きになる。
[「鞘《さや》当て」とは、一人の女性を狙う二人の武士が、すれ違いざまに刀の鞘がぶつかったことから争いになる、という遊里の場面が、歌舞伎の趣向でよく見られることから、一人の女性を二人の男性が奪い合うことを意味する]
「此の所、黙《だんま》りにしておくべい」
「俺も黙りでいべい」
【現代語訳】
今入道はじっくり考えて、
「化けの里は多くの化け物が集まる場所だから、ワシもこの里に行って、化け修行をしよう」
と決めました。
そして、毎晩のように通ううちに、最近初めて店に出るようになった新屋《しんや》の毛女郎と深い仲になったのでした。
[「新人の女郎」と言うことで店の名を「新屋《しんや》」としたか。妖怪毛女郎が出没するであろう時間帯の「深夜《しんや》」とも掛けたか]
ヒヒの養子の見越入道は、毛女郎が初めて店に出たその日より、あれこれとチヤホヤして、自分のものにしようとしましたが、全然なびかないので、「どうしてだろう」と思っていたところ、毛女郎は今入道と深い仲になっていると聞いてビックリ仰天しました。
「毛女郎を今入道に取られては、養父のヒヒに合わせる顔もない。何としてでも毛女郎を自分のものにして、今入道に一泡吹かせてやろう」
と見越入道が怒りに震えていた矢先に、遊郭で今入道と見越入道は出会ってしまい、とうとう毛女郎の奪い合いとなったのでした。
今入道「ここは黙っておるわけにはいくまい」
見越入道「オレも黙っちゃいられねえ」
【解説】
よりによって、敵同士の二人が(まあ、敵だと言ってるのは一方的に見越入道の側ですがw)、同じ女郎を好きになってしまいます。
二人が奪い合う毛女郎の姿はさぞかし美しいのでしょうね♪
あ、我々と化け物とでは美的感覚が違ってるようなので、ひょっとしたら。。。
というか、見越入道は、ここまで今入道を捜さずに、化けの里で遊んでたんですね(笑)
毛女郎の心は今入道になびいているので、今入道に分があると思われますが、はてさてどうなるか?
肝心の毛女郎の姿は次回で見れます。
【一つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(前回の答え)】
【一つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(正解は次回)】
ヒント
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※北見花芽の中の人も少しだけ担当しています。
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