今回から数回にわたって豆腐小僧を取り上げます。
以前に読んだ作品が中心ですが、バラバラに書いていたので、この機会にまとめようかなと。
豆腐小僧の初出は恋川春町作画『妖怪仕内評判記《ばけものしうちひょうばんき》』(安永八[1779]年刊)とされています。
『妖怪仕内評判記』は、役者評判記に似せて、妖怪たちの仕内(化け方、人の脅かし方)に点数をつけるという設定です。
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
妖怪仕内評判記 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション(10ページ目です)
※画像は拡大できます。
【原文】
豆腐小僧といふ化け物ハ、頭大振りにて四五歳に見へ、眼《まなこ》ばち/\と光らかし、夜、人の後に付いて送る。
これは鼬《いたち》なり。
悪くすると仇《あだ》をなす化け物なり。
「なんだか襟元から水を掛ける様《やう》。
寒くなつてきたハ。
急いで帰りましヤう」
「もし/\、おぢさん、私も一緒ニ参りましやう」
次に大の腕、これも狐の仕打ち也。
昔、平重盛《たいらのしげもり》、三熊野《みくまの》に詣で、「入道の悪行無き様《やう》に」と祈り給へバ、内陣より大の腕を出だし、手裏を返セしと言ふ事、平家物語に見へたり。
「ヤい小僧、その豆腐を、この手の平へくれろ。
奴《ヤつこ》で四方《よも》の滝、粋《すい》と出るハ」
【現代語訳】
豆腐小僧という化け物は、頭が大きくて四・五歳くらいの見た目で、目をばちばちと光らせて、夜、人の後ろを付いて歩きます。
これはイタチが化けた物です。
悪く扱うと仕返しをする化け物です。
町人「何だか襟元に水をかけられたみたいに寒くなってきたわ。
急いで帰ろっと」
豆腐小僧「もしもし、おじさん、私も一緒に行きましょう」
次に出てきたのは大の腕。
これは狐の化けた物です。
昔、平重盛《たいらのしげもり》が三熊野《みくまの》[熊野三山]に参詣して、「入道[平清盛]が悪行をしませんように」とお祈りされた所、内陣から大きな腕を出して、手のひらを見せたと言います。
このことは『平家物語』に載っています。
大の腕「やい小僧、その豆腐をこの手のひらに乗せてくれ。
奴豆腐を肴《さかな》に四方《よも》の滝水《たきすい》[お酒の名前]をキューっと一杯、これが粋《いき》ってやつだね!」
【解説】
ここでの豆腐小僧は、大頭小僧との混同が見られ、豆腐小僧はイタチが化けた物とされています。
昔の見世物小屋では、「大イタチ」といって、大きな板に血が塗ってあるのを見せるギャグが定番だったみたいですが(笑)
まあ、ここでの豆腐小僧は、悪いことしなけりゃ、何もしないという事みたいです。
豆腐にはしっかり紅葉マークがありますね。
後を付けられた町人さん、やっぱり、お化けが出ると寒くなるんですね。
だから、夏に怪談話をするのですね(笑)
豆腐小僧じゃなくて、若い女の子だったら一緒についてきてくれてもいいですがね(笑)
大の腕は、平重盛に手のひらを見せてせて「なんかちょーだい」ってことなのですかね?(笑)
『平家物語』、平重盛が熊野に参詣したことは出てるみたいですが、大の腕についてはたぶん載っていません(笑)
「奴《ヤつこ》で四方《よも》の滝、粋《すい》と出るは」という大の腕のセリフ、正確には「粋《すい》」と「粋《いき》」は違うみたいなんですが、「通《つう》」とも同じような、「物事に通じている」という江戸の美意識を表す言葉です。
「水《すい》」と「粋《すい》」を掛けていると思われます。
「四方の滝水」は今でも東京の赤坂で売られているらしいので、紅葉マークの豆腐で一杯やりたいものですな。
これが初出とされているのですが、この作品はすでに名のある妖怪が描かれてるっぽいんで、豆腐小僧も春町の創作とはどうも思えないんですよね。
探せばもっと前のが出てくる気がします。
誰か探しといてください(笑)
この豆腐小僧の髪型、僕と同じだねヾ(๑╹◡╹)ノ"
髪が無いのに髪型と言ってもよいものなのか?ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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※北見花芽の中の人も少しだけ担当しています。
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