(行灯の灯が長く燃え上がる)
(部屋の中が水で満たされる)
新日本古典籍総合データベース
※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0)
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【原文】
然《さ》れバ二日の夜も行灯《あんどふ》明かしけるに、火長く燃え上がり、後は天井に燃え付くと見えにける。
権八は予《かね》て約せしに任せ、宵より来たりしが、この躰《てい》を見るより、殊《こと》に氣を焦《あせ》りけれども、平太郎が騒がざれバ、後止む事無く帰りける。
其《そ》れより平太郎も捨て置きて臥しけるに、彼の焼けしと見えし天井を見るに、何の跡も無かりけるとぞ。
其の夜、平太郎臥しけるに後、居間の内、何とやらん生臭く覚えしが、俄《にわ》かに水 湧《わ》き出て、鼻へも入るかと思はれ、頓《やが》て起きて見れば、一間の内に湛《たゝ》へてける。
後ハこれも潮《うしほ》の引く様《やう》に次㐧/\に消え失せしとなり。
【現代語訳】
そういうわけで、七月二日も行灯《あんどん》に火を灯すと、火が長く燃え上がり、そのまま天井に燃え付くぐらいになりました。
権八は前日に約束していたので、夜から平太郎の家に来ていたのですが、この様子を見ると、かなりパニくりました。
しかし、平太郎が騒がなかったので、火は収まらなかったのですが、権八はそのまま家に帰りました。
それから平太郎も、火はそのまま放っておいて、横になりましたが、ふと焼けたはずの天井を見ると、何の跡も残っていませんでした。
その夜、平太郎が寝ていると、居間の中が何やら生臭く感じました。
すると、急に水が湧き出て来て、平太郎の鼻に入るかと思われる勢いでした。
すぐに起きて見ると、部屋中が水で満たされていました。
それから、これも潮が引くように、水は徐々に消え失せたという事です。
【解説】
二日目に起きたのは火と水の怪異です。
平太郎は特に何をするわけでもなく、ただ怪異を放置しただけですが、ビビって帰った権八よりはずっとマシでしょうかねヾ(๑╹◡╹)ノ"
ちょっと今回の怪異は地味だったので、次回に期待しましょうヾ(๑╹◡╹)ノ"
僕もよく地味だって言われるよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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