(木部屋の戸口を塞ぐ老婆の顔)
新日本古典籍総合データベース
※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0)
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【原文】
六日の夜ハ、庭の前に有りし木部屋《きべや》に行かんとせしに、部屋に当たり大いさ戸口を塞《ふさ》ぎし程の老婆の顔有り。
平太郎ハやがて思ひ付き、小柄《こづか》提ゲて其處《そこ》に到り、婆《ばゞ》の眉間《みけん》に打ち込みしが、稀有《けう》成るかな、婆は痛める色も無く、平太郎興を醒《さ》まし、其の侭《まま》に捨て置き、帰りける。
明ケの朝に到りて、是を見れば、婆の顔は無くて、小柄は彼の眉間と見て突き立てしと思ひける所に、斯《か》ゝる如く[空《そら》]に成りて有りしとぞ。※脱字を補いました。
「珎《めづ》らしき事かな」と善《よ》く/\見て後ハ、小柄は地上に落ちにける。
是らは一入《ひとしお》怪しき事どももなり。
【現代語訳】
七月六日の夜は、平太郎が庭の前にある木部屋《きべや》[薪などを入れて置く小屋]に行こうとすると、木部屋の前には戸口を塞ぐほど大きな老婆の顔がありました。
平太郎はすぐさま何かを思い付き、小刀を持って木部屋の前に戻って来て、老婆の眉間《みけん》に打ち込みました。
不思議なことに、老婆は痛がる様子も見せなかったので、平太郎はどん引きして、そのまま放っておいて帰りました。
翌朝、木部屋に行って見ると、老婆の顔は無くて、小刀は老婆の眉間だと思って突き立てた所で、空中に浮いていました。
「これはヘンテコな事だなあ」と平太郎がじっくり見ていると、そのうち小刀は地上に落ちました。
この一件は、ひときわ不気味な出来事でした。
【解説】
このヘタウマな絵が何とも嫌な感じですね(笑)
平太郎は、火や水の怪異は刀ではどうすることもできなかったのですが、老婆の顔ならワンチャン刀でやっつけれるとでも思ったのでしょう。
が、どうやら実体はなかったようで、翌朝、刺した小刀は空中に浮いていたという、なかなかの怪現象が起こりました。
化け物も本領を発揮し始めたようですヾ(๑╹◡╹)ノ"
僕も「大きな顔するな!」ってよく言われるよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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