(中村平衛門からの使いの美女に化けた妖怪)
新日本古典籍総合データベース
※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0)
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【原文】
廿日の夕方、中村平右衛門が家よりの使ひとて、美敷《うつくしき》女来りて、餅菓子を贈りける。
賤しき女なるに、物 嫋《たを》やかに麗《うるは》しき事、いと言ふべからず。
「誠に斯ゝる女も有りける物か」と心も惑ばさるゝばかり也。
然れば、平太郎、ふと心附き、然《さ》有らぬ躰《てい》に持て成しけるが、一ツ二ツ話し、やがて心無げに帰りける。
平太郎も其の跡を見送りしに、門に出て後ハ見失ひしと也。
跡にて調べけるに、隣に餅菓子を拵《こしら》へしが、重一つ見えざりける。
果たして、その重の内にて有りけるとぞ。
化け物の恐ろしくも巧みし事とて、ます/\慎ミ恐れける。
其の後も少しハ変わりし事有りしとなん。
【現代語訳】
七月二十日の夕方、中村平右衛門の家からの使いということで、美しい女が贈り物として、平太郎の家に餅菓子を持って来ました。
身分の低い女なのに、おしとやかで美しく、とても言葉では言い表せないほどです。
平太郎は、「このような美しい女が、本当にこの世にいるとは」と、胸がドキドキしまくりました。
しかし、平太郎は、ふと我に返って、何とも思ってない様子でもてなし、少しばかり話して、やがて女は何事もなく帰って行きました。
平太郎は帰る姿を見送ったのですが、門を出てから先は見失ってしまいました。
あとで調べた所、中村平右衛門の家では、隣への贈り物として餅菓子を作ったのですが、餅菓子を入れた重箱がいつのまにか一つ無くなりました。
まさしく、平太郎の所に届けられたのは、その無くなった重箱だったということです。
色仕掛けで陥《おとしい》れようとする、化け物の恐ろしくも巧妙な企《たくら》みが明らかになり、平太郎はますます警戒して恐れました。
そのあとも、平太郎の家では、少しばかり怪異があったそうです。
【解説】
今度は色仕掛けを使って、平太郎を陥れようとする化け物。
ほんと、手を変え品を変えですねヾ(๑╹◡╹)ノ"
手応えがないと判断したのか、あっさり帰って行きましたが、平太郎の神経を少しばかりはすり減らす効果はあったみたいですね。
そして、その後にあった、細かい怪異については、もはや内容を書きさえしないというねヾ(๑╹◡╹)ノ"
うふん、三つ目美女よヾ(๑╹◡╹)ノ"
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