(空から真っ赤な石が落ちて来る)
新日本古典籍総合データベース
※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0)
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【原文】
十三日の夜は、心易き同士《どし》集まり、語りける様《やう》は、「西江寺《せいごうじ》の什物《じふもつ》、佛判《ぶつはん》と言へる者有り。諸/\の災難の払いになる由、借り持て居間に掛けばや。如何に」と申し合わせ、取りに遣はしける。
使ひにハ出で行くに、何とやらん、足の縮む様《やう》にて、到る事叶わざりけれバ、平太郎、「自《ミずか》ら参らん」とて、集まりし人〻にハ、「留主《るす》し給はれ」と頼ミて出で行きけるに、其の中に有りし平五郎と言へる者、氣強き男なれバ、「供《とも》セん」とて、同じく出で行きぬ。
然《しか》るに、道なる薮の傍《かたへ》を行きけるに、空より稲妻の如くに光りて、真赤き石一ツ落ち来たり、平五郎が腰骨に当たり、忽《たちま》ち倒れ、正氣無かりける。
平太郎ハ驚き、呼び起こしけれども、確かならざれバ、詮方《せんかた》無く、やがて背負ひ、やう/\[漸う]に連れ帰りける。
実に行く先/\にて、斯《か》く稀有《けう》なる事の有りしハ、皆〻変化の所為《しよゐ》とぞ思はれける。
【現代語訳】
七月十三日の夜は、気の知れた仲間たちが平太郎の家に集まり、「西江寺《せいごうじ》[広島県三次市]に代々伝わる宝物に、仏判《ぶっぱん》というものがある、色々な災難を払ってくれるというので、借りてきて居間に掛けてみてはどうか?」と話し合って決め、西江寺に仏判を借りに人を遣わすことにしました。
使いの者が西江寺に出かけるには出かけたのですが、どういうわけか足が縮こまったようになって、西江寺までたどり着くことができませんでした。
そこで平太郎は、「人に頼まず、自分で西江寺に行くことにしよう」と言って、集まった仲間たちには、「留守番をしてくだされ」と頼んで出かけました。
その中に平五郎という者がいたのですが、気が強い男だったので、「お供しよう」と言って、平太郎と一緒に出かけました。
ところが、道にある薮の側《そば》を歩いていると、空からカミナリのように光って、真っ赤な石が一つ落ちて来ました。
石は平五郎の腰骨に当たり、平五郎はそのまま倒れ、気を失いました。
平太郎は驚き、呼び起こしたのですが、意識を取り戻さないので、どうしようもなく、そのまま平五郎を背負って、なんとか家まで帰りました。
それにしても、西江寺に行く道中で、このような奇妙な事が立て続けに起こったのは、すべて化け物の仕業だと思われます。
【解説】
「仏判」は聞き馴染みのない言葉ですが、おそらく「仏印《ぶついん》」と同様のものだと思われます。
「仏印」は仏の姿を彫った版画です。
借りるのを妨害された仏判は、さぞかし妖怪に効果があるものに違いありません(フラグ)
それにしても、普通だったらこんな毎日化け物が出る平太郎の家に、誰も寄り付かないでしょうに、毎日のように人がやってくるとは、平太郎には人望があるのでしょうか?
僕のブロマイドならいつでも貸すよ、というかあげるよヾ(๑╹◡╹)ノ"
いらないよヾ(๑╹◡╹)ノ" いや、魔除けにはなるかもなヾ(๑╹◡╹)ノ"
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