はい、みなさまお待たせしました、え?待ってなかった? 今回から中断していた『金草鞋』の続きを少し読み進めたいと思います。
どうやら、中巻の一ページ目を読んだ所で飽きて中断していたようです(笑)
というわけで、中巻の二ページ目から再開です!
※中巻の一ページ目はこちら。kihiminhamame.hatenablog.com
kihiminhamame.hatenablog.com
今回と次回は霞が関あたりで大名行列に遭遇する場面です。
今回は右ページで次回に左ページの文章を中心に解説します。
【左右ページ全体】
【右ページ詳細】
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
金草鞋. 1編 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像は拡大できます。
【原文】
愛宕《あたご》の下通りを真つ直ぐに、虎の御門を入り、霞が関辺り、御大名屋敷の煌《きら》びやかさ、二人ハ肝を潰して行く向かふから、「はいほう、脇寄れ/\」と先箱の奴《やつこ》らさ、力《りき》ミ返りて来たるを恐れて。
狂 鬼《をに》ごのミ 石御器《いしごき》さあで くん呑んで ぎづむ奴《やつこ》ハ 酒払ひだァ
延高
「ヤレ、はあ、見なさろ、御大名《おでへミやう》様だァ。
成程《あるほど》、はあ、でつかいもんだァ。
御大名《おでへミやう》のお母様《かつさま》ァ、大抵《てへ/\》の事《こん》じヤァ御座るめへ。
あの太さあへ飯のう盛つてやるべいも、怠けた事《こん》じヤァ御座ら無いもし。
そしてにしやァ、その天辺袋《てつぺんぶくろ》のう、どうなさろ。
お殿様にその脳《なづき》さ、何《あに》やされべいに」
【現代語訳】
愛宕《あたご》の下通りを真っ直ぐ進み、虎の御門を入りました。
霞が関辺りのお大名屋敷の華やかさに、千久羅坊《ちくらぼう》と鼻毛延高《はなげののびたか》の二人がビックリして進んで行く向こうから、
「ハイホー、ハイホー、脇に寄れ、脇に寄れ!」
という掛け声とともに大名行列がやってきました。
先箱[大名行列で先頭の者に担がせた挟み箱]を担いだ奴《やっこ》[武家の使用人]たちが、とても力《りき》んでいるのを怖れて、二人は次のような狂歌を詠みました。
鬼ごのみ[酒の銘柄]を茶碗で飲んで力《りき》んでいるような奴《やっこ》は、先払い[大名行列で前方の通行者を追い払う者]じゃなくて酒払いだ!
延高
「ほれ、あれを見なされ、お大名様だ!
なるほどなあ、大きなもんだなあ。
お大名様の奥さんは、大抵の事では勤まるまい。
あの大きな弁当箱に飯を盛ってやるのも、なまやさしいことじゃござるまい。
それにしても、頭巾はどうなさるのじゃろ。
大きなお殿様[お大名様]の頭には、何をかぶせているのやら」
【解説】
虎ノ門や霞が関と言った今でも馴染みのある地名が出て来ると、江戸時代も身近に感じますよねヾ(๑╹◡╹)ノ"
〔江戸切絵図〕 - 国立国会図書館デジタルコレクション
地図に名称は書かれていませんが、愛宕山の前の通りを愛宕下通と言ったそうです。
愛宕下通を真っ直ぐ進むと新シ橋《あたらしばし》なので、実際には手前で左に曲がらないと虎ノ門には行けません。
虎ノ門を入ると霞が関です。
ご覧のように大名屋敷だらけです。
大名行列の「はいほう」って掛け声が、七人の小人みたいで面白いですねヾ(๑╹◡╹)ノ"
延高のセリフは意味が分かりにくいのですが、おそらく、大きな大名屋敷を見て、先箱を巨大な弁当箱と思い、大名を大巨人と勘違いしているのだと思われます(笑)
(奴と先箱)
延高の手が「こーんなにでっかい」って形になっていますね(笑)
僕もでっかい弁当箱で、蚊の目玉をたらふく食べたいなヾ(๑╹◡╹)ノ"
◆インフォメーション
※北見花芽の中の人も少しだけ付録CDで担当しています。
※付録CDに『武太夫物語絵巻』(『稲生物怪録』)が収録されています。
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