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国立国会図書館デジタルコレクション
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【原文】
月麿画《つきまろが》 十返舎一九戯著《じつぺんしやいつくぎちよ》
二人ハ、一日見物して歩き、日も暮れければ、吉原《よしわら》限りに、また、両国《りやうごく》から五百羅漢《ごひやくらかん》、亀戸《かめゐど》、向島《むかふじま》、其の外《ほか》、王子《わうじ》、雑司ヶ谷《ぞうしがヤ》、堀ノ内《ほりのうち》ハ、此の後編に見物すべしと、先《ま》づ、馬喰町《ばくろてう》の宿へ立ち帰りける。
「さて/\、今日ハ芝屋さあの看板のう只《たゞ》見て来る。
吉原じヤア、御洒落《おしやらく》さあと行《い》き合《や》つて、手さあちくと触つて来る。
貝回《ばいまわ》しが気の違ハ無い内に、逃《ぬ》げて来る。
道/\、人《ふと》が酒呑んだり、旨い食つて居召される所《とこ》の匂ひさあ、只嗅いで来る。
得な事ばつかしで、是から此処《こゝ》の内で、旅籠代《はたごだい》のう突《つ》ん出す代わり、飯《めし》の五六十杯も打ち食つたら、其れで何《あに》も申し分《ぶん》ハ御座らぬ。
先づハ目出度《めでた》い/\。
金草鞋《かねのわらじ》初編終
【現代語訳】
喜多川月麿画《きたがわつきまろが》 十返舎一九戯著《じっぺんしゃいっくぎちょ》[戯《たわむ》れに書き記す]
延高と千久羅坊の二人は、一日中、江戸見物をして歩き、日も暮れたので、
「今日は吉原《よしわら》で終わりにして、両国《りょうごく》から五百羅漢《ごひゃくらかん》、亀戸《かめいど》、向島《むこうじま》、そのほか、王子《おうじ》、雑司ヶ谷《ぞうしがや》、堀ノ内《ほりのうち》は、また、この作品の後編で見物しましょう」
と、まずは、馬喰町《ばくろちょう》の宿へ帰ったのでした。
延高 or 千久羅坊
「さてさて、今日は芝居は見ずに、芝居の看板だけ見てきた。
吉原じゃあ、御洒落《おしゃらく》[女郎]に出くわして、手をちょっとだけ触ってきた。
刀の上でコマを回している人がおかしくなって、刀を振り回す前に逃げてきた。
道すがら、人が酒を飲んだり、おいしいものを食べているのを見て、匂いだけ嗅いできた。
お金を使わずに得なことばかりして、これから、この宿で、宿代を払う代わりに、飯《めし》を五、六十杯でも食べたら、もう何も言うことはござらん。
ひとまず、めでたし、めでたし」
金草鞋《かねのわらじ》初編終
【解説】
結局、ケチな二人は見るだけで少しも金を使わずに宿に戻ってきます(笑)
ちなみに吉原から宿のある馬喰町までは徒歩で一時間ほどかかりますヾ(๑╹◡╹)ノ"
宿で宿代以上の飯を食べてやろうと意気込んでいるところで、めでたしめでたし。
、、、ん? はい、今回で『金草鞋』初編が終わりかと思ったら、どうやら、ここまで読んだのは「初編前編」だったようで、このあと「初編後編」が始まり、二人の江戸見物はまだ続きます。
でも、まあ、そろそろ飽きてきたので、ここらでまたお休みして、次回は違うものを取り上げようかなと。
ちなみに、『金草鞋』はこのあと二十年書き続けられ、『金草鞋』二十四編が作者の十返舎一九の遺稿となります。
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ようし、僕も蚊の目玉を五、六十杯、食べるぞ!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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