【前回のあらすじ】
采女は頼母に対する思いを一気にまくしたてます。
それを聞いた内蔵之助は、あきれた様子で口を開きます。
【初めての方へ】
原典の画像だけでなく、スクロールすると、ちゃんと活字の原文(可能な限り漢字に直し、送り仮名と振り仮名を補足しています)と現代語訳と解説がありますよヾ(๑╹◡╹)ノ"
【スマホでご覧の方へ】
諸事情により、PC版と同じデザインになっています。なるべくスマホでも読みやすいようにはしているのですが、もし、字が小さいと感じた場合は、スマホを横にして拡大すると読みやすいと思います。
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霞亭文庫 · 男色義理物語 · 東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
男色義理物語 : 4巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※赤字の書入れ等は筆者。
【原文】【現代語訳】
(御身此の儘《まゝ》に虚《むな》しく絶へ入り給ふとも、世の中の波《なミ》〈習《なら》ひ〉として、悪事ハ必ず千里を駆くる)と申す事侍れバ、やわか斯《か》ゝる事と人知らで有らんや。
(あなた様(采女)がこのまま虚《むな》しくお亡くなりになったとしても、『悪い評判は、千里も離れているような場所にまで、必ず瞬《またた》く間に知れ渡る』と、世間ではよく)言いまして、あなた様(采女)の浮気心は必ず人に知られることになるでしょう。
然《さ》あらバ、若き人/゛\の口遊《くちずさ》びにも、
『あな哀《あハ》れや。
是ハ其の殿にこそ恋死《こひじ》せし。
然《さ》れど、言ふに甲斐《かい》無き惚者《ほれもの》かな。
又、惚れたを見付れて〈見付けて〉無下《むげ》に殺すも惚者《ほれもの》かな』
と色/\様さま/゛\に言葉に花を咲かせて、言ゝ嘲《あざけ》り侍らん。
そうなったなら、若い人たちの噂話でも、
「ああ、哀れですなあ。
この方(采女)は、その方(頼母)のせいで恋死《こいじに》したのですか。
しかしながら、言葉にする価値も無い愚か者ですな。
まあ、惚れられたのに気づいていながらも、そっけなく見捨てた者(頼母)も、この方(采女)を殺したも同然で、また愚か者ですが」
と、色々様々に話をはずませて、バカにしてあざ笑うでしょう。
惣而《そうじて》、人の上の事ハ、誰とても横様《よこさま》の事をも言ひ出ん世なれバ、まして是ハいとふ言ふに甲斐《かひ》無し〈言ひなし〉と覚ゆ。
ただでさえ、人の事を誰もが悪く言おうとする世の中なのに、ましてや、あなた様(采女)の行為は特に話題になることでしょう。
斯《か》ゝる理《ことハり》を思へバ、御身は死ゝて知らで浮名《うきな》を東《あづま》の空に汚《けが》し、生きて有る身は思い設《もふ》けぬ嘲《あざけ》りを受けて、遠近《とうちか》き人/゛\に、面《おもて》を更級《さらしな》の月に見せ聞えんも、
そういうわけで、あなた様(采女)は死んでからも、知らない所で悪い噂を流され、生きている方(頼母)は、思いもよらぬ誹謗中傷《ひぼうちゅうしょう》を受けて、あらゆる人の前で恥ずかしい思いをすることになります。
[「面《おもて》を曝《さら》す」と「更級《さらしな》の月」が掛かっている。「東の空」と「月」はワンセットで用いられる縁語的な技法]
何故《なにゆへ》なれバ、偏《ひとへ》に其方《そなた》の犬《いぬ》の尾《を》喰《く》い、八千度《はつせんど》喰《く》い返す輪廻《りんゑ》の深き故《ゆへ》なり。
それもこれも、すべて、犬が自分の尾をくわえようとして、グルグルと何度も回るのと同じぐらい、あなた様(采女)の執念が深いからなのです。
[「犬が輪になって回る」と「輪廻」を掛けた]
餘り物事くた/゛\しく心を付くるも、却《かへ》つて愚痴《ぐち》の致《いた》す所なり。
あまり、長ったらしくクドクドとあなた様に忠告するのも、かえってよくないですね。
[采女の執念深さを非難する文言にも解釈できる]
闇《やミ》の夜に歩《あゆ》ミ行《ゆ》く如《ごと》く、行先知《ゆくさきし》らずに、そつと仄《ほの》めかし聞こへん」
と、ふと立つて出づるを、
闇夜に歩いて行くように、どこに行くのか分からないのですが(この先どうなるか分からないのですが)、私の考えをそれとなく申し上げるにとどめておきましょう」
[「闇の夜の 行く先知らず 行く我を 何時《いつ》来まさむと 問ひし児らはも」『万葉集』を踏まえるか]
と内蔵之助は言い、さっと立って出て行こうとしました。
「あなや、暫《しばら》く、左様《さやう》の軽々《かろ/゛\》しき事や侍らん」
と言へど、耳《ミヽ》を留《と》めずして、内臓之助《くらのすけ》は大殿《おほとの》[侍従の居住する屋敷のメインの建物。頼母や内蔵之助の部屋があるか]へ罷《まか》でけり。
采女は、
「ああ、少しお待ちください、そのように、私は物事をよく考えていないわけではではございません」
と言いましたが、内蔵之助は聞く耳を持たず、自分の部屋の方に帰ったのでした。
男色義理物語巻之一終
『男色義理物語』巻の一終わり
【解説】
というわけで、内蔵之助は采女の事をボロクソに言って、帰っていったのでした。
ただ、最後の辺りが、主語とかがハッキリしないので、解釈に悩みましてね、「そつと仄《ほの》めかし聞こへん」が、「頼母ちゃんに、采女ちゃんが恋してることを、それとなく伝えちゃおうかなあ」という、内蔵之助が相当意地悪なことを言ってる感じにも解釈できるんですよねえ。
となると、采女のレスも「そんな軽はずみなことをしてはなりません」と内蔵之助を制止していることになります。
まあ、もう少し読み進めたら、ハッキリわかる描写があるかもしれないので、その時はこっそり修正することにします(笑)
で、やっと巻一が終わりです。
まだ話は始まったばかりです、もうちょっとでストーリーも進んで面白くなるはずなので、しばしご辛抱をヾ(๑╹◡╹)ノ"
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僕も恋がしたいなあ
ヾ(๑╹◡╹)ノ"
え?いつも物乞いしてるじゃん
ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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