今回でやっと姥の長い話が終わるよ!
姥の話はだいぶそれましたが、再び一代女へのアドバイスに戻ります。
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 好色一代女. 巻4
18ページ目です。
【原文】
行(ゆき)ます。
とても奉公(ほうこう)をする身も、こんな内方に居(ゐ)ますが仕合(しあはひ)[しあはせ]。
此の内から世帯(せたい)持(もつ)て出やうと思はしやれ。
只(たゞ)御隠居(ごゐんきょ)様お一人の御気(き)に入りて、何事を仰せられますとも、少しも背(そむ)かず、内證(ないしよう)の事、努々(ゆめ/\)外(そと)へ漏らし給ふな。
尤(もつとも)、お年寄(よら)れたれば、物毎(ごと)気短(きみじ)かなれども、其れは水の出端(でばな)のごとく、跡もなく御機嫌(きげん)直るなり。
随分(ずいぶん)お心に叶(かな)ふやうにし給へ。
人は知らぬ事、隠居銀(ゐんきよがね)大分御座(ござ)れば、明日(あす)でも目を塞ぎ給はゞ、いかなる果報(くはほう)にかなるべし。
最早(もはや)七十に及び、身は皺(しは)だらけにして、先(さき)の知れたる年寄(としより)、何(なに)を言ふても心計(ばかり)。
馴染みは無けれど、其方(そなた)を愛しさに。」
萬(よろず)事を、底叩いて語(かたり)ける。
ざらりと聞(きい)て合点(がつてん)
【ざっくり現代語訳】
(姥のセリフの続き)
「~近々のことでは、湊に藤の花を見に行きます。
大きな重箱に南天の葉を敷き、赤飯を山のように盛り付けて行くのです。
このような家で奉公するのはこの上ない幸せです。
我が家での奉公を最後にして、寿退社をするのがよいでしょう。
ただ、奉公している間は、ご隠居様だけにお気に入られるようにして、何を仰せ付けられても、少しも背かないようにしてくだされ。
そして、この家の中であった出来事は、断じて他言無用ですぞ。
ご隠居様はお年を召されているので、気が短くてすぐ怒りますが、それは水の出始めのように、勢いが良いのは最初だけで、しばらくしたらすっかりご機嫌が直ります。
みんなは知らないけれど、隠居代として分けられた財産がかなりあるようで、ご隠居様が明日にでもお亡くなりになったら、あなたも分け前として思わぬ大金を得ることになるかもしれませぬ。
ご隠居様は、もう七十歳になられ、体中シワだけで、先の長くない年寄りなので、何を言われたってどうってことないですよ。
あなたとは会ったばかりですが、なんだか可愛らしくて仕方ないのでお話しました。」
と、姥は全てを包み隠さず教えてくれました。
私は一通り聞いて、ガッテン!ガッテン!ガッテン!ガッテン!
【解説】
姥が家の内情を全て話してしまう程、一目見ただけで一代女は魅力的な女性なんでしょうね。
姥はなにげにご隠居様のこともディスってます(笑)
あ、全てだと思いきや、ご隠居様に関して、一つだけ言ってないことがありますね!
目録部分をご覧になった皆様にはもうお分かりでしょうが♪
前回のくずし字クイズの答え
クルクルは「給」でした♪。
よく出てくるくずし方なのですが、なぜか手持ちのくずし字辞典には、「給」のこのくずし方が載っていなのが不思議です。
今回のくずし字クイズ
次回に紹介するページからです♪
どこで字が区切れてるかがわかりにくいようなので、一字ずつ丸で囲ってみました♪
最初の四文字は目録部分にも出てきたネタバレ部分ですね(笑)
kihiminhamame.hatenablog.com
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