明治時代の浮世絵の『本所七不思議』の続きだよ!
誰?僕が馬鹿囃子じゃなくて馬鹿男子だなんて言うのは!
By 歌川国輝 (3代目) - scanned from ISBN 4-3097-6096-4 Invalid ISBN., パブリック・ドメイン, Link
野久知橘筵作・歌川国輝画『本所七不思議』(明治十九[1886]年刊)
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本所七不思議之内 / 昇旭斎国輝 画
【翻刻】
本所七不思議之内 狸囃子(たぬきはやし)
八束穂(やつかほ)や狸(たぬき)もいさむ腹鼓(はらつゞみ)神樂囃子(かぐらばやし)に
透引(さそ)われて夜毎(よごと)に聞(きこ)ゆる太鼓(たいこ)の音(ね)も
或(あるい)ハ近(ちか)く又(また)ハ遠(とう)く其(その)面白(おもしろ)さに釣出(つりだ)され
ツイうか/\と此所(こゝ)彼所(かしこ)歩行(あゆみ)疲(つか)れアゝ
家に帰(かへ)り前後を忘(わす)れ打臥(うちふ)しぬるに
耳元(みゝもと)近(ちか)く啼(な)く烏(からす)に目覚(めさめ)て見(ミ)れば
コワ不思議我家にあらで露(つゆ)たるる
合羽干場(かつぱほしば)の廣野原に臂(ひぢ)を枕(まくら)の髙
鼾(いびき)アゝ我ながら撮(つま)まれし後悔(こうくわい)なせ
るも在りとなん是そ世に云(いふ)化囃子(ばかばやし)彼(か)の
本所の廣野には今の代(よ)とても在(あらん)哉
野久知橘莚撰
【原文(補足表記)】※振り仮名の一部は省略しました。
本所七不思議之内 狸囃子(たぬきばやし)
八束穂(やつかほ)や狸(たぬき)も勇む腹鼓(はらつゞみ)、
神楽囃子(かぐらばやし)に透引(さそ)われて、夜毎(よごと)に聞こゆる太鼓の音(ね)も、或(あるい)ハ近く又ハ遠く其の面白さに釣り出され、ツイうか/\と此所(こゝ)彼所(かしこ)歩行(あゆみ)疲れ、アゝ家に帰り前後を忘れ打ち臥(ふ)しぬるに、
耳元近く啼(な)く烏(からす)に目覚めて見れば、コワ不思議、我が家にあらで露垂るる、合羽干場(かつぱほしば)の廣野原に、臂(ひぢ)を枕の高鼾(いびき)、アゝ我ながら撮(つま)まれし、後悔なせるも在りとなん、
是ぞ世に云ふ化囃子(ばかばやし)、彼(か)の本所の廣野には、今の代とても在(あ)らん哉(かな)。
野久知橘莚(のぐちきつえん)撰(つく)る
【さっくり現代語訳】
本所七不思議の内 狸囃子(たぬきばやし)
よく実った長い稲穂を見て、タヌキも張り切って腹鼓を打ちます。
毎夜のように、近くだか遠くだか、どこからか聞こえる神楽囃子(かぐらばやし)の太鼓の音の面白しろさに誘い出され、「どこだろう」とついついあちこち訪ね歩くのですが、結局見つけられず、疲れて家に帰ってバタンキュー。
耳元でカラスが鳴く声が聞こえて目覚めてみると、不思議な事に自分の家ではなく、朝露で湿る合羽干場(かっぱほしば)の広い野原で、ヒジを枕にしてイビキをかいてぐっすり寝ていたのでした。
そして、「ああ、我ながら情けない。。。タヌキに化かされた。。。」と後悔するのでした。
これが世に言う馬鹿囃子(ばかばやし)です。
その本所の合羽干場の広い野原では、今でもその怪異は起こるということです。
野久知橘莚(のぐちきつえん)作
【解説】
このお話の舞台となる、合羽干場の場所なのですが、地図を見ても書かれていません。
明治時代の三遊亭円朝の落語『月謡萩江一節』三と四、『鏡ヶ池操松影』三の記述から推測すると、はい、地図ドン!
〔江戸切絵図〕. 本所絵図 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※ この記事では国会図書館デジタルコレクションの画像を適時改変して使用しています。
この田んぼのあたりにあったのではないかと。
最初に「八束穂」って出てきますしね。
『月謡萩江一節』で合羽干場が描かれている挿絵を参考までに。
円朝全集. 巻の十一 - 国立国会図書館デジタルコレクション
この時代は今より高い建物もなかったので、思いもかけない遠くの場所の音が聞こえてくることも、よくあったのでしょうね。
まあ、タヌキに化かされて朝起きると家じゃなかったというのは、怪異の定番ですよね。
変なものとか食べさせられなかっただけまだマシだと思いましょう。
以上で、明治時代の浮世絵の『本所七不思議』は七つ揃って完結です。
おそらく今伝わっている「本所七不思議」の内容は、この浮世絵がベースになっていると思われます。
最後に、浮世絵の『本所七不思議』における怪異の場所をまとめておきました。
※ 場所が書かれていなかった置いてけ堀を除く。
次回以降も、もう少し本所七不思議について掘り下げます。
三つ目コーナー
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(激しく後悔)
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