昨年末に読んだ『金玉ねじぶくさ』巻七の二の冒頭で出てきた、「チン」という鳥にみなさま興味津々なようでヾ(๑╹◡╹)ノ"
kihiminhamame.hatenablog.com
「チン」がどういう鳥か知るには、百科事典で調べればいいわけですが、このブログで現代の百科事典を紹介するわけがありませんwヾ(๑╹◡╹)ノ"
江戸時代にどう考えられていたかを知るには、現代とは解釈が異なる場合も多々ありますが。江戸時代の百科事典を調べた方がいいわけでヾ(๑╹◡╹)ノ"
わからない動物が出てきた時に便利な江戸時代の百科事典は、はい、『和漢三才図会《わかんさんさいずえ》』ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
あ、『和漢三才図会』と『三才図会』、よく混同されますが、『三才図会』は中国の百科事典で、『和漢三才図会』は『三才図会』の日本版と言った感じで作られた別の本なのでご注意をヾ(๑╹◡╹)ノ"
倭漢三才図会 : 105巻首1巻尾1巻. [31] - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクション画像を、適宜改変して使用しています。
【書き下し文】
ちん
鴆 音 朕《ちん》
チン
同力鳥《とんりつちょう》
䲰日《うんじつ》
『本綱』、鴆は鷹に似て大きく、状《かたち》は鴞《ふくろう》の如く、紫黒色にて、赤き喙《くちばし》、黒き目、頸《くび》の長さ七八寸有り。
雄を運日《うんじつ》と名付く。
雌を陰諧《いんかい》と名付く。
雄鳴く時は、則《すなわ》ち晴《は》れ、雌鳴く時は、則ち雨ふる。
其の声《こえ》、腰鼓《ようこ》を撃つが如く、同力《とんりつ》と言うに似たり。
故に同力鳥《とんりつちょう》と名付く。
大木の顛《いただき》に巣《す》くう。
巣の下、数十歩《すうじゅうぶ》に皆、草木生ぜざる也。
蛇及び橡《とち》の実を食う。
木石の間に蛇有る事を知る時は、即《すなわ》ち禹歩《うほ》を為《な》して以《もっ》て之《これ》を禁《ごん》[「呪禁《じゅごん》」のこと]す。
須臾《しゅゆ》に木 倒《たう》れ、石崩れて、蛇出る也。
蛇口に入る時は即ち爛《ただ》る。
其の屎溺《しにょう》、石に着けば、石皆黄に爛《ただ》る。
飲水の処《ところ》にて、百虫《ひゃくちゅう》之《これ》を吸うに、皆死す。
人誤りて其の肉を食えば、立処《たちどころ》に死す。
惟《ただ》犀《さい》の角を得て、即ち其の毒を解《げ》す也。
此の鳥、商州《しょうしゅう》蘄州《きしゅう》等、南方の山中に出ず。
【現代語訳】
鴆《ちん・チン》
発音は「朕《ちん》」と同じ。
別名 同力鳥《とんりつちょう》・䲰日《うんじつ》
『本草綱目《ほんぞうこうもく》』に拠ると、チンはタカに似て大きく、姿はフクロウのようで、全体は紫黒色で、クチバシは赤く、目は黒く、クビの長さは七・八寸[約二十センチ]あります。
オスのチンはウンジツと呼ばれ、メスのチンはインカイと呼ばれます。
オスが鳴くと晴れて、メスが鳴くと雨が降ります。
その鳴き声は腰鼓《ようこ》を叩いたようで、「トンリツ」と言ってるように聞こえます。
なので、トンリツチョウとも呼ばれます。
大木のテッペンに巣を作ります。
巣の下、数十歩《すうじゅうぶ》[一歩は約一、八メートル]の範囲には、チンの毒で草木は全く生えません。
ヘビやトチの実を食べます。
木や石の間にヘビがいるのを見つけると、呪《まじな》いを唱えながら踊ります。
するとすぐに木は倒れ、石は崩れ、ヘビが出て来るのです。
ヘビはチンの口の中に入ると、すぐにただれてしまいます。
チンの糞尿は、石に付くと、どの石も黄色にただれてしまいます。
チンが水を飲んだ水飲み場で水を吸った虫は、すべて死んでしまいます。
人間が間違ってチンの肉を食べると、あっという間に死んでしまいます。
ただし、サイのツノがあれば、チンの毒を消すことができます。
チンは、商州《しょうしゅう》や蘄州《きしゅう》[中国にかつてあった州]といった、南方の州の山中にいます。
【解説】
ありゃあ、内容はほぼ『本草綱目《ほんぞうこうもく》』[中国の薬学書]からの引用でしたヾ(๑╹◡╹)ノ"
だったら、『本草綱目《ほんぞうこうもく》』を読めば良かったwヾ(๑╹◡╹)ノ"
『金玉ねじぶくさ』に書かれている内容と基本的には同じですが、異なる箇所もありますね。
でも、まあ、『金玉ねじぶくさ』は書かれている内容にちょっといい加減な所があるので、この『和漢三才図会』というか『本草綱目』に書かれている内容が、当時の日本におけるチンに対する認識に近いものであったと思われます。
近年、チンと同様の毒鳥が発見されたそうで、ひょっとしたら、チンも実在したのかもしれませんね。
詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みになるといいです(丸投げ)ヾ(๑╹◡╹)ノ"
square.umin.ac.jp
挿絵のチンはヘビをくわえていますね。
僕のチンはヘビみたいだよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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