うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

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小野川と大入道 『和漢百物語』より

 今日は横綱小野川大入道を退治するお話だよ!

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月岡芳年画『和漢百物語』(慶応元[1865]年刊)
国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 和漢百物語 小野川喜三郎

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 翻刻
和漢百物語(わかんひやくものがたり)
小野川(をのがは)は近世(きんせい)の力士(りきし)也谷風(たにかぜ)と相対(そうつゐ)して
日下開山(ひのしたかいさん)横綱(よこつな)を免許せらる曽(かつ)て其身(そのみ)
を召抱(めしか)へ給へる太守(たいしゆ)の殿中(でんちう)に毎夜(よな/\)妖(えう)
怪(くわい)ありときゝて一夜(あるよ)君前(くんぜん)近(ちか)く宿直(とのゐ)する
に深更(しんかう)に及(および)忽然(こつぜん)として一個(ひとり)の大入道(おほにうだう)現(あらは)
れ小野川(をのがは)を見(み)て首を長うしから/\と打(うち)
笑(わら)ふを取(とり)おさへてよく/\見(み)るに年経狸(としふるたぬき)
の化(ばけ)たるなりけり 魯文記

【現代語表記】
和漢百物語(わかんひゃくものがたり)
小野川(おのがわ)は、近世(きんせい)の力士(りきし)なり。
谷風(たにかぜ)と相対(そうつい)して、日下開山(ひのしたかいざん)横綱の別称]横綱(よこづな)を免許せらる。
嘗(かつ)て其身(そのみ)を召抱(めしかか)え給える太守(たいしゅ)の殿中(でんちゅう)に、毎夜(よなよな)妖怪(ようかい)ありとききて、一夜(あるよ)、君前(くんぜん)近(ちか)く宿直(とのい)するに、深更(しんこう)に及(および)、忽然(こつぜん)として一個(ひとり)の大入道(おほにうだう)現(あらわ)れ、小野川(おのがわ)を見(み)て首を長うし、からからと打(うち)笑(わら)うを取(とり)おさへてよくよく見(み)るに、年経狸(としふるたぬき)の化(ばけ)たるなりけり。 魯文記

【ざっくり現代語訳】
和漢百物語
小野川喜三郎は、谷風梶之助と共に横綱免許を与えられた、近い時代の力士です。
かつて、小野川を召し抱えていたお殿様久留米藩主・有馬頼貴]のお屋敷で、毎晩のように妖怪が現れることがありました。
それを聞いた小野川は、お殿様の近くの部屋で、寝ずの番をすることにしました。
夜が更けると、突然、大入道が現れ、小野川を見て首を長くし、「からから」と笑いました。
小野川は難なく取り押さえ、よく見てみると、大入道の正体は古だぬき化けた物だったそうです。
仮名垣魯文が記す

【解説】

こんばんは、北見花芽です♪

『和漢百物語』
はシリーズ物で、絵は全て月岡芳年ですが、文章は複数の作家さんが書いています。

ここでの文章は仮名垣魯文ですね。

仮名垣魯文は、教科書では「安愚楽鍋を書いた」とぐらいしか載っていなかった覚えがあるので、こういうところでふと名前が出てくると、少し存在を身近に感じることが出来るような気がします。

一方、月岡芳年は私の大好きな絵師さんなのですが、教科書にはもちろん載っておらず、教科書的な文化史からは無視されています、シクシク。。。

小野川喜三郎は、実質的な初代横綱です。

谷風梶之助と同時に寛政元(1789)年横綱に推挙されたのですが、谷風の方が先に現役中に亡くなっているので、谷風四代横綱小野川五代横綱となっています。
[同時昇進の場合は、先に土俵を去った方が若い代数になります]

横綱になったあとあたりからは、小野川才助の名で番付に載っています。

今では、どうしても谷風雷電為右衛門の影に隠れるような存在となってしまっているので、ちょっと気の毒ですね。写楽大童山土俵入りにも小野川の姿はありませんし。。。
[どうも写楽がスケッチした日に小野川が出場していなかったようです]

kihiminhamame.hatenablog.com

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谷風(左)雷電(右)は描かれています]

前回、あえて書かずにおいた「ゐ」に見える文字は、「給」です!

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通常、「給」くずしはもうちょっと縦長になるのですが、ここではちょっと横長に書かれているので、間違えやすくなっております。

ここに描かれている大入道首が長いタイプの見越し入道に近いですね。

葛篭から出てくるのもこのタイプですね(笑) 
kihiminhamame.hatenablog.com

化け物の正体がやらやらだった話は多く見られるので、またそのあたりについても機会があったら書ければいいなと。

え?僕の正体は何かだって?
世の中にはね、知らない方がいいってことがあるんだよ!

 

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