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越後の大入道 ~『変化物春遊』その10~

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寛政五[1793]年刊、桜川慈悲成作・歌川豊国画『変化物春遊(ばけものはるあそび)』
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
変化物春遊 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。

【原文】

 越後の国の大入道、
「御伽噺《おとぎばなし》の化け物本にハ一番先へ出るはづを、何故作者が書き出さぬか合点が行《ゆ》かぬ」
 と申《も》し、
「子供衆が俺を怖がらぬがどふいふもんだ。こふとくじ[高徳寺?]のもゝんぢい」
 と顔を出すと、子供が、
「今迄の怖い話に飽きた所、馴染みのもゝんじい、目隠しでもしやう」
 と言ふて、子供衆の御意《ぎよい》に入りハ[?]
「味噌じゃァねいが、この御坊《おぼう》だ」[?]
 と、「子を取ろ、子取ろ」[鬼ごっこの一種]の餓鬼大将、
「化け物本の団十郎ハこれじや/\」
 と入道 鼻高印《はなたかじるし》、
「儂《わし》も御前達が怖がらぬと化け物を辞めて役者にでもならにやァならぬ」
「入道久しく遊んでいきなよ。俺等《おいら》ァ久しく遊《あす》ばねいと嫌。
 御前《おめえ》化け物では一番中でどれが贔屓《ひいき》だ。
 俺等《おいら》はこの坊さんが」
「俺等《おいら》も」
「/\」
「/\」
「/\」

【現代語訳】

 越後の国新潟県の大入道は、子ども向けの化け物本では、一番最初の事を書くのが決まりなのに、この本の作者はなぜこの最初に書き出さないのだ?」とグチります。
 そして、

「それにしても、子どもたちが、最近俺の事怖がらないのはどうしてなんだ?」
 と歎きつつも、百物語の最後のロウソクが消された時に[百物語は、百の怖い話を一つするたびにロウソクを一つ消す遊び。子どもたちの間でも流行。最後の話が終わってロウソクを消した時に化け物が現れるという]
高徳寺の化け物だぞ!」
 と決まり文句を言って子どもたちの前に現れると、子どもたちは、
「わあい、怖い話をするのに飽きた所に、お馴染みのお坊さんが出てきた!
 
目隠し鬼をして遊ぼうよ!」
 と誘います。
 大入道はしかたなしに子どもたちの誘いに乗ると、

「わあい、お坊さん仲間に入った!」
 と喜びます。
ごっこをしよう!」
 とガキ大将が言い出し、

化け物本市川団十郎と言えばこのお坊さんじゃ!」
 とおだてると、

 大入道鼻高々になり、
お前たち怖がらないから、化け物をやめて役者にでも転職せにゃいかんなあ♪」
 と上機嫌ガキ大将が、
お坊さん、いっぱい遊んでいきなよ。
 おいら、いっぱい遊んでくれないとじゃ!
 
お前たち化け物の中で誰が一番好きじゃ?
 
おいらこのお坊さんじゃ!」
 と聞くと、他の子どもたちも口々に
おいらも!」おいらも!」おいらも!」おいらも!」
 と言うのでした。

【解説】

「ももんじい」化け物人を脅かす時に発する言葉で、化け物そのものを表す言葉でもあります。
詳しくは過去記事をごらんくださいませ。kihiminhamame.hatenablog.com

子どもたち百物語をする様子は双六にも描かれていましたね。kihiminhamame.hatenablog.com

越後の大入道は、当時、子どもたち怖がらなくなるほどよく登場し、人気があったことがわかります。
このブログでも二作品ほど登場しています。
kihiminhamame.hatenablog.com

kihiminhamame.hatenablog.com

これまでとは打って変わって、全く怖くないほのぼのとしたお話でした。
「やさしい悪魔」ならぬ「やさしい妖怪」ですねヾ(๑╹◡╹)ノ"

三つ目コーナー

 ぼく「やらしい妖怪」だよヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

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