【前回のあらすじ】
越後の国の大入道は、片目をくりぬいて息子の一つ目小僧に与えて家督を譲り、隠居したのでしたが。。。
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (4ページ目です)
※画像は拡大できます。
【原文】
一ッ目小僧は、
「入道に世を譲られ、中/\今迄の様《やふ》に、丸盆に豆腐《とふふ》を乗せて、雨降りに柳の下から「もゝんじい」とやらかすような、まだるい事をしては、大入道の株が廃る」
と、かの童子格子《どうじがうし》の大褞袍《おほどてら》を拵《こしら》へて、鉄の棒をよた/\と突いて、諸国化け修行と出掛けける。
「俺が形《なり》は、「ひらがな」の辻法。何という身だ」
「親父はよつぽど人に怖がられたもんだが、俺も上手くやりたいもんだ」
【現代語訳】
一つ目小僧は、
「大入道に家督を譲られたので、なかなかこれまでのように、丸盆に豆腐を乗せて、雨降りに柳の下で「ももんじい![子どもを驚かす時に言う定番のセリフ]」などと言って子どもを怖がらせるような、生ぬるいことをしていては、大入道の株を下げることになる」
と思いました。
そこで、大入道の衣装としてお馴染みの童子格子《どうじごうし》柄の大どてらをしつらえて、鉄の棒をよたよたと突きながら、諸国化け修行[「武者修行」をもじった]に出掛けたのでした。
一つ目小僧
「オレの格好は、まるで『ひらがな盛衰記《せいすいき》』[浄瑠璃・歌舞伎の演目]の辻法印《つじほういん》じゃないか。なんてザマだ」
一つ目小僧
「親父の大入道は、とても人に怖がられたものだが、オレも上手く人を怖がらせたいものだ」
【解説】
一つ目小僧(大入道から目を一つ与えられて二つ目になっている)がしていた「丸盆に豆腐を乗せて~」という怖がらせ方は、豆腐小僧そのものですね。
やはり、豆腐小僧は独立した妖怪ではなく、怖がらせるための手段の一つなのでは。
kihiminhamame.hatenablog.com
童子格子の大どてらは、大入道の定番衣装のようで、『化物夜更顔見世』でもそのように書かれています。kihiminhamame.hatenablog.com
一つ目小僧はとりあえず、格好から入ったものの、まだまだサマになっていないようです。
歌舞伎の登場人物を出すのは、この時期の作品ではよくある手法ですね。
宣伝とかの意味も兼ねていたと思われます。
ちなみに、辻法印とは街頭で祈祷などをする山伏です。
『ひらかな盛衰記』では、小柄な辻法印が、大柄に見えるように背伸びしたり高下駄を履き、それっぽい衣装を着た上に、顔に鍋墨を塗って黒くしたりして、弁慶の代役をさせられます。
一つ目小僧は、家督を継ぐのはまだ早い未熟な化け物のような気がしますが、はてさてどうなるのやら?
【一つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(前回の答え)】
【一つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(正解は次回)】
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