それでは、今回から、『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」を読み始めたいと思います。
この作品が、日本で最初に紹介された「牡丹灯籠」のお話です[元は中国明時代の怪異小説『剪灯新話《せんとうしんわ》』の「牡丹灯記《ぼたんとうき》」]。
『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」
※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA)
新日本古典籍総合データベース
【原文】
「牡丹灯籠《ぼたんのとうろう》」
年毎《としごと》の七月十五日より、廿四日までハ、聖霊《しやうりやう》の棚を飾り、家/\、是を祭る。
又、色/\の灯籠《とうろう》を作りて、或《ある》ひハ祭りの棚に灯し、或ひハ町家《まちや》の軒に灯し、又、聖灵《しやうれう》の塚《つか》に送りて、石塔《セきとう》の前に灯す。
其の灯籠《とうろう》の飾り物、或ひハ花鳥、或ひハ草木、様/゛\しほらしく作り成《な》して、其の中に灯火《ともしび》灯《とも》して、夜もすがら掛け置く。
是を見る人、道も去り敢《あ》へず、又、其の間に踊り子供の集まり、聲良き音頭《をんどう》に頌哥《セうが》出させ、振り良く踊る事、都の町/\、上下皆、斯《か》くの如し。
天文戌申《てんぶんつちのへさる》の歳《とし》、五条京極に荻原新之丞《おぎハらしんのじよう》と言ふ者有り。
近き頃、妻に遅れて、愛執《あいしう》の涙、袖に余り、恋慕《れんぼ》の炎、胸を焦がし、一人寂しき窓の下《もと》に、在《あ》りし世の事共、思ひ続くるに、いと悲しさ限りも無し。
【現代語訳】
「牡丹灯籠《ぼたんのとうろう》」
毎年、七月十五日から、二十四日まで、家ごとに精霊棚《しょうりょうだな》を飾って祭ります。
また、色々な灯籠を作って、精霊棚に灯《とも》したり、町家の軒に灯したり、故人の墓に持って行き、墓石の前に灯したりします。
その灯籠には、花鳥や草木など、色々と可愛らしく作って飾り、その中に灯火《ともしび》を灯して、一晩中、掛けておきます。
都のあちこちの町で、身分の区別なくみんな、これを見た人たちは道を立ち止まり、その間に踊り子供たちが集まり、声が良い人にありがたい歌を歌わせて、振りも上手に踊ります。
天文戌申《てんぶんつちのへさる》の年[天文十七(一五四八)年]、五条京極に荻原新之丞《おぎわらしんのじょう》という者がいました。
近頃、妻に先立たれ、愛しすぎたあまり、袖では拭けないほど涙を流し、恋い慕う気持ちが炎となり、胸を焦がすのでした。
一人寂しく窓の下で、妻が生きていた頃などを思い続け、この上もなく悲しむのでした。
【解説】
舞台は室町時代の京都です。
今で言う、お盆のお祭りの様子が描かれて物語が始まります。
故人を祭る灯籠には、花などの装飾がされるとのことですが、これがこのお話のキーポイントになります。
主人公は、近頃妻を亡くして悲しんでいる、荻原新之丞という男です。
僕の頭にも装飾をしてほしいなヾ(๑╹◡╹)ノ"
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