【前回のあらすじ】 式部側の使者の浦上図書がやってきて、侍従に頼母を切腹させるように進言するのでした。
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霞亭文庫 · 男色義理物語 · 東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
男色義理物語 : 4巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※赤字の書入れ等は筆者。
【原文】【現代語訳】
よし又、堅く守りたるにもし給へ、父同胞《ちちはらから》の者共《ものども》、やわか其の儘《まゝ》にてハ思ひ止《や》まじ。
さあ、また、頼母をしっかりお守りになったとしても、式部の父や兄弟たちがこのまま諦めるはずもないでしょう。
且《か》つうハ、時の権を取り、片手打ちなる様《やう》に、高《たか》きも卑《いや》しきも眉《まゆ》を顰《ひそ》め侍らんぞ。
唐橋殿が時の権力者でおられる一方で、このような不公平なことをされては、身分が高い者も低い者も顔をしかめるでしょう。
且つ又、御一門[オリジナルの『藻屑物語』『雨夜物語』では「大君(将軍)」となっている]の思《おぼ》し召されん所も然《しか》るべからず。
更に、御一家の方々も、このような処遇があってはならないとお思いになるでしょう。
然《さ》れバ、唐土《もろこし》賢王《けんおう》の御寵愛《ごてうあい》の童《わらハ》、御褥《おんしとね》の上を越しゝとてさへ、諸卿《しよきやう》訴へけれバ、止《や》ん事無く、御涙の下に、武士に任せ、遥《はる》/゛\と流離《さすら》へ給ふ。
そもそも、中国の賢明な王(周の穆王《ぼくおう》)は、御寵愛《ごちょうあい》の童(慈童《じどう》)が、王の枕を跨《また》ぐという失態を犯した時でさえ、臣下たちが訴え出たので、そのまま無視することはなさらず、童を守りたい気持ちを抑えて、お涙を流しながら、武士の掟に従い、童を遠い地に流刑《るけい》にされました。
況《いはん》や是は御側《おそば》近く人を殺《あや》め、上《かみ》を蔑《ないがし》ろにし奉る事、中/\沙汰に及バぬ曲者《くせもの》なり」
ましてや、この頼母は唐橋殿の御側近くで人を殺めるという、お上をバカにした行為をしたので、全く詮議する必要も無い罪人でしょう」
と我が朝の事は扨《さて》〈扨置き〉、宝祚仙人《ほうそせんにん》が昔まで引いて、様/゛\諫《いさ》め侍れバ、
と、自分の国の事は差し置いて、彭祖仙人《ほうそせんにん》[中国の伝説上の長寿仙人]がいたような中国の昔の事例を引いてまでして、浦上図書が色々と忠告しました。
力及ばせ給わず、
「然《さ》有ればあらバ、夜明けて腹切らせよ」
と仰せ出されけるにこそ、
これ以上は唐橋侍従のお力ではどうすることもできず、
「それならば、夜が明けてから、頼母に腹を切らせよ」
と仰せつけになりました。
討たれし子の父も憤《いきどお》りを止《や》め、其の夜の明くるを遅しと待ち兼ねける。
こうして討たれた子(式部)の父も怒りを収めて、この夜が明けるのを今や遅しと待つのでした。
扨、羽《は》を交さんと契り深ゝりし采女《うねめ》なりける人は、事《こと》有らん昼つ方、「神流川《かんながは》の母来たり侍る」と暇《いとま》申し、品川《しながハ》[『藻屑(雨夜)』では「芝品川」]の邊《へん》に在《あ》りけるが、
さて、頼母と羽を交えるような深い契りをした采女と言う人は、事件の日の昼頃、「神流川《かんながわ》[群馬県]から母がやって来ますので」と休暇を申請し、品川の辺りにいました。
哀れ神ならぬ身の果敢無《はかな》さハ、斯《か》ゝる事とハ知らずして、海の辺《ほとり》に逍遥《しやうよふ》して、
ああ、神ではない身のはかなさよ、こんな事件が起こっているとは露知らず、海の辺りを散歩していました。
泉郎人《あまびと》の数多《あまた》漁《あさ》り合へる様《さま》、「こよなふ可笑《おか》し」と、見る目[「海松布《みるめ》(海藻)」と掛けた]取らせて詠《なが》め居たるに、日も暮れ夜も明けぬ。
多くの漁師が漁をしている様子を、「とても面白い」と目を奪われて眺めているうちに、日も暮れて夜になりました。
【解説】
浦上図書の説得、というか式部側の圧力により、とうとう唐橋侍従は翌朝に頼母に切腹させるよう仰せ付けます。
ちなみに、浦上図書が例に出した穆王と慈童の説話は、この時代、弘法大師の男色と同じぐらいよく登場します。
一方、みなさん、存在を忘れかけていたでしょう、頼母の恋人の采女は、故郷の神流川《かんながわ》から母がやってくると言うので、品川に出向いています。
何も知らずにのどかに海を眺めていますが、はてさて。


挿絵は、右は海で漁を眺める采女で、左は馬で侍従の元に向かう浦上図書ですかね。
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「神流川」と「神奈川」って間違いやすいよねヾ(๑╹◡╹)ノ" ![]()
「三つ目」と「三が日」も間違いやすいよねヾ(๑╹◡╹)ノ"![]()
三が日も、三つ目の頭も、おめでたいけどなヾ(๑╹◡╹)ノ"![]()
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