桜川慈悲成作・歌川豊国画『変化物春遊(ばけものはるあそび)』(寛政五[1793]年刊)を、ちょこちょこ読んでいくシリーズ♪
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 変化物春遊 : 2巻
10ページ目です。
【翻刻】
ひとつめといふものハうまれ
のまたひとつめにもあらず
いたつてよきおとこなりけるが
そのこにやまわらハといふもの
ありてはけものになりたき
よしをひたすらおやに
ねがいけるゆへその
ことをきゝとゞけばけ
ものになれといふ
こハかわゆいものかな
ワれがふたつのめを
ひとつくりてこのやま
ワらハにぞやりける
どふやらふるいやうなこと
【補足表記】
一つ目と言ふ者ハ、生まれのまた一つ目にもあらず、至つて良き男なりけるが、その子に山童《やまわらハ》と言ふ者ありて、化け物になりたき由を、ひたすら親に願いける故、その事を聞ゝ届け、「化け物になれ」と言ふ。
子ハ可愛《かわゆ》いものかな、我《ワれ》が二つの目を一つ刳《く》りて、この山童にぞ遣りける。
どふやら古い様《やう》な事。
【ざっくり現代語訳】
一つ目と言う化け物は、生まれた時から一つ目ではありませんでした。
元々はイケメンだったのですが、その子に山童という者がいて、「化け物になりたい!」とひたすら親に頼むのです。
自分の子ほど可愛い者はいないわけで、親は「よし、化け物になれ!」と、自分の二つの目の一つをくりぬいて、この山童に与えたそうです。
この出来事は、おそらく、ずっとずっと昔の事のようです。
【解説】
つまり、こういうことですね!
イケメンが、、、
一つ目に!
というわけで、CM!(笑)
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CM終わり!(笑)
親が目を一つくりぬいて一つ目になったということは、山童は三つ目になったということでしょうか?
山童は一つ目で描かれていることが多いんですけどね。
(『百怪図巻』『画図百鬼夜行』など)
というか、似たような話、どっかで見たような、、、
ああ、これだ!
kihiminhamame.hatenablog.com
同じ作者の『大昔化物双紙』では、親の大入道が子の一つ目小僧に目を一つくり抜いて与えます。
山童はヒヒの子供として登場します。
そして、最後に一つ目小僧は三つ目入道になります。
『大昔化物双紙』の翻刻と訳、苦労して書いたので、この機会にまだの方は、ぜひ目を通していただければと。
すでにお読みになった方も、何度も目を通していただければと(笑)
『大昔化物双紙』は、この作品の二年後の寛政七 [1795]年刊なので、ここでの設定を流用して使ったのでしょうね。
このお話が評判良かったのかしらん?
どちらにしても、『大昔化物双紙』の成立を考える上で見逃せないページだと思います。
『大昔化物双紙』を研究してる人がいるかどうか知りませんが(笑)
挿絵は一つ目が二人いるわけではなく、岩のくぼみに溜まった水鏡に姿が映っているのでしょうね。
それにしてもこのイケメンモデルは誰なんだろ?(笑)
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